第3話

私 : もうすぐ着く。

拓 : 鍵開いてるから勝手に入ってきて。


タクシーを降りて拓の住んでいるアパートの部屋を開ける。


「いつもより遅くない?」

「あ〜何か変わった人に話かけられて…」

「男?」

「そう…」


少し拓の目つきが変わる。


「これ拓の好きなもの買ってきたから置いとくね」

「俺煙草も買ってきて欲しかったんだけど」

「あーごめん…」


拓は少し喋り方や態度に威圧感がある。付き合って半年くらいは優しかった。それ以降段々私への態度が変わってきた気がした。それでも一緒に居たかった。でも1年半経った頃に急に振られ、なのに私を呼び出す。


グイっと手を引っ張られ押し倒される。今日もまた繰り返す。


「痛っ…」

肩を強く噛まれる。多分少し怒っている。別れたのに私が他の男と関わるのを嫌がる。自分のオモチャを他に盗られるのは嫌らしい。


それでもそれが少し嬉しいと思ってしまう私は抜け出せない。


「お前は俺だけを見てればいいんだよ」


自分は見てくれないくせに。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る