第8話 想い

いつもと変わらない日々を送る中


駿河 雄平という一人の男の子の存在が


私の心が恋へと導かされていた




「梨生、ちょっと買い物行ってくれない?」

「えっ!?買い物!?やだっ!」

「あなたには断る権利ないわよ」

「えっ?」

「強制で買い物だから、そろそろお迎えが来るから行くのよ!」

「強制?お迎え?」



ピンポーン

インターホンが部屋中に鳴り響いた。



「来たんじゃないかしら?」

「えっ!?」



母親が対応し母親に呼ばれ玄関先に行くと、そこには駿河君の姿があった。




「駿河君と買い物!?えっ!?何で!?」

「お前、聞いてない感じ?」

「うん」

「夏、毎年気紛れではあるけど、ここのアパートの住人とバーベキューすんの」

「バーベキュー?」


「そっ!ここのアパートの管理人さんの希望で住人の親睦会含みとしてだけど。お前ん家以外は全て家族ぐるみで顔馴染みの家族だから。まあ、今回は遅い歓迎会みたいな感じじゃねぇの?」


「そうか」

「お前だけ聞いてなかったんだ。可哀想に」

「あのねーっ!偶々よ!偶々!」



クスクス笑う。


私達は出掛けた。



「一番上の子供のいる所は子供達代表で、みんなで食べられそうなお菓子とかジュースの買い出し」


「そうなんだ」

「で、大人の買い出しは大人達で色々買い出しするってやつ?」

「へぇー、楽しそ~♪何か楽しみ~♪」



私達は色々話をしながら買い出しする。



流石に駿河君は子供達と遊んだり、コミュニケーションとったりしている為、顔馴染みなだけあってかテキパキ買い物をしている。



買い物を済ませ、お店を後に帰るとバーベキューの準備をする事になる。




――― 夕方 ―――



バーベキューが始まる。


大人達はお酒が入りテンションMAX?

色々な話が飛び交い盛り上がる。




そんな中 ――――



「あっ!馬鹿っ!それジュースじゃ……」



そういう駿河君が言うのと同時に、私は飲み干してしまった。



「えっ?何?」


「いや……お前が今飲んだの……ジュースじゃなくて……お酒だから……」


「ええっ!嘘っ!?ヤバイ……未成年……」


「どうしたの?」


と、住人の一人が尋ねてきた。



「いや……コイツ、ジュースと間違って……知らずにお酒飲んで……」

「まあっ!大丈夫?」

「はい、今の所は大丈夫なんですけど……」

「体調悪くなったり気分悪くなったら言ってね」

「はい…すみません……」

「全く!」



コツンと小突いた。



ドキン




しばらくして ――――



「す・る・が・君♪」

「何だよ!気持ち悪い呼び方する……」



藤原 梨生の様子が変わっていた。

お酒の酔いが回ったのか、顔が赤いのと色っぽく上目遣いの目で俺を見つめた。



「ねぇ…♪」

「な、何?」

「キスして♪」

「えっ!?」

「お・ね・が・い♪」

「む、無理っ!」


「ええっ!駿河 雄平っ!この私とキス出来ないっていうの!?」


「好きでもねーのに出来る訳ねーだろっ!!」




騒ぐ私達に大人達が反応した。



「喧嘩か?」

「いや……」


「ねぇ~♪キスぅ~♪」

「おっ!今の若い子は大胆だなぁ~」

「いやっ!違うからっ!」

「梨生ちゃん酔いが回ってきたのね」

「酔い?」


「さっき、ジュースと間違ってお酒飲んじゃったらしくて」

「あー、そういう事かぁ~。雄平、キス位減るものじゃないぞ!」

「いや、減るとか減らないとかじゃなくて」

「やっちゃえ、やっちゃえ!」



グイッ


大人が茶化し盛り上がる中、俺と藤原の後頭部を押し俺達はキスをさせられた。



「やったー」



騒ぐ大人達。



するとすぐに藤原は俺にもたれかかる彼女。



「お、おい…藤原?」

「あらあら、キスして眠り姫になっちゃったわね~」


「本当」


「…………」


「全く」


「…す…が…ゅ…ぅ…好…き…」

「…?…今…気のせいか…?」




聞こえるか聞こえないかの声で彼女はポツリと呟いた。


そんな私も全く覚えていない。


ただ、キスして盛り上がったのは親から聞いた。







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