担任の女教師が授業中に鞭でぶってくるけど普通に痛いしやめてほしい話

和橋

担任の女教師が授業中に鞭で打ってくるんだが普通に痛いのでやめてほしい。

 突然だが、この俺、菊池純には好きな人が居る。

 その好意を向ける相手。それは、俺のクラスの担任の教師、小川美奈先生だ。

 俺は小川先生が大好きだ。誰がなんと言おうと大好きだ。先生の授業の時だけは寝ずに真面目に授業を受けているくらいだ。

 しかし、最近困ったことが起きた。その困ったこととは……


 バチッ

「痛ってぇ! なんで鞭なんかで叩いてくるんですか!?」

「だって、菊池君最近、授業の時いっつも寝てるんでしょ?」

「うぐっ。で、でも俺小川先生の授業では寝たことないですよね!? それなのになんで俺だけこんなごっつい鞭で叩かれなくちゃいけないんですか!?」

「だって、職員会議で決まったことだから……ごめんねっ」

 いや、教師しっかりしろ。てか誰か止めろ。

 と、そんなことを考えいるうちにまたもや、

 バチッ

「痛ってえ! 先生! さすがに痛いですって!? てかこれ普通に体罰じゃないんすか!?」

「え? 違うよ? だって体罰って、「体」で「罰する」って意味で体罰じゃん? 例えばー、そうそう! ビンタとか!」

「あー、自分の体の一部で叩くことが体罰だから鞭で叩くのは体罰じゃないのかぁ…‥そうかそうか」

「そうなんですっ!」

「ってそんなこと信じるわけないでsy」

 バチッ

 今日三度目の豪快な鞭の音が鳴る。

「グファッ!!」

「次また喋ったら鞭が飛んでくるからね!」

 小川先生はいつもよりも顔を輝かせ、まるで天使のような笑みを浮かべている。やっている事は悪魔的なのだが。

こんなことを考えている間も、もちろん俺は喋ることができない。

 ほかの生徒は俺が鞭で打ちつけられているところを見てからというもの、いつも以上、というか今世紀最大なのではないかと疑ってしまうほど静かになった。

 しかしまぁ。好きな人にこんな顔を見せられると……はぁ、恋の力は偉大だ。今までのムカムカしていたものが一瞬でどこかへ行ってしまう。

 まぁ、仕方ないか。寝なきゃいいだけの話だし。


 ……とか思ってたやつ誰だよ。

 寝てる、寝てないに関係なく鞭で打ってくるんですけど!? しかもどんどん鞭で打っていくたびに打つのがうまくなってるんですけど!? それになんかギリギリ痣とかできない絶妙な強さで打ってくるんですけど!?

 だが、さすがにこれが一週間続いてくると、慣れ……じゃなくて! 精神的にも来るんですけど!?

 ……さすがにここまでくると我慢ならない。反抗してやる……!

 


 ということで、今日初めての先生の授業。小川先生とは朝のホームルーム以来だ。

 相変わらず、ぶっとくてごっつい鞭を持って教室に入ってきた。

「はいー今日も授業を始めるよー」

 そしてそう言った途端こちらにごっつい鞭をもって歩み寄ってくる。

 いつものパターンだっ……!

 まず一番最初に俺を打って大きな音を出し、意識があやふやな生徒をまとめて起こすつもりの、音重視のやつだっ……!

小川先生は大きく鞭を振りかぶり、振り下ろす。

 バチィィィンッ

 俺の狙い通り、かなりの音が出る鞭の打ち方をしてきやがった。痛みはいつもと変わらない。だが、いつもより痛そうに振る舞う。

「痛っ…………せ、先生!」

「……ん? なぁに? 菊池君?」

「そ、その、この鞭で打つのさすがに痛いのでやめてください!! もうこりごりなんです!!」

 い、言えたぞ!? こ、これでやっと解放されるっ!!

 などと思っていたのだが、帰ってきた返事は予想外の物だった。

「……言いたいことはそれだけかしら?」

……は?

「うっ……え、えーと、は、はぃ」

「はぁ、もう少しゆっくり育てようと思ったのに……」

 小川先生が小声で少し何かを呟く。しかし、その声は微かにしか俺に届かなかった。

「えっ? 何か言いました?」

「あっ、いや、何でもないわよ! うふふふふ」

 何か今、育てるとか言ってなかったか? このひt

 バチィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!

 小川先生は今までで一番大きく振りかぶり、そして俺に鞭を打った。

 今までにないくらいとてつもない威力。

 の、はずなのに、なぜか。

 その瞬間、「痛み」という電気信号が流れるはずが。

 なぜか。

 「快感」という名の電流が体を駆け巡った。今までに体感したことのない快楽。胴体からつま先まで、体の隅々を快感が徐々に支配していく。

 体が完全に快感に支配される頃。小川先生が耳元で少しばかり火照った声で呟く。

「うふふ。放課後、相談室に集合よ」

「ひゃ、ひゃい」

耳元で声をかけられただけ。しかし、ただそれだけで今の俺の体は蕩けそうになっている。

 俺は少しだけ残った理性で思った。

もしかしたら自分は自分の中のパンドラの箱を開けてしまったのかもしれない……と。

 

~完~



 




 

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担任の女教師が授業中に鞭でぶってくるけど普通に痛いしやめてほしい話 和橋 @WabashiAsei

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