報酬と新スキル 1
街に戻った僕たちは、ギルドの宿屋に部屋を取ると、ベッドに倒れ込むように寝てしまった。
翌日、目が覚めると、日が高く上がっていた。慣れない護衛の仕事で疲れていたのか、寝過ごしてしまったようだ。ちなみにタカオもまだぐっすりと寝ている、僕はタカオを起こし、軽く
時間がかなり遅かったので、モーニングは終わっていた。ランチはもう始まっていたので、僕らは少し早いランチを食べる。ちなみに、今日の昼食はチキンソテーとサラダ、後はでっかいパンだ。
食事をしながらタカオが言う。
「今日は休みにしないか? 遠くから帰ってきたばかりだし」
「歩いて半日くらいの場所なんだけど…… まあ、いいよ、休みにしよう。それなりに疲れたから」
「じゃあ、この後に銭湯に行かないか? 遠征中も風呂には入ったけど、やっぱり足の伸ばせる大きな風呂に浸かりたいぜ」
「行っても良いけど、そのまえに昨日の任務の報告をしよう。あと、レベルが上がったから、新しくスキルが取れるかも?」
「おっと、そうだった、レベルアップもしたんだよな。今度はどんなスキルが覚えられるんだろう? さあ、早く行こう、とっとと食っちまおうぜ」
タカオが急いで食べ始めたので、僕も慌ててスピードアップする。取得するスキルは逃げないので、もうちょっとゆっくり食べてほしい。
食事が終わると、僕らは受付に行く。受付はいくつもあるのだが、行き先はもちろんエノーラさんの所だ。
タカオが笑顔でエノーラさんに報告をする。
「俺たち、任務を達成したんで、報酬を取りに来ました。ええとユウリ、幾ら貰えるんだっけ?」
「ええと、たしか7日間の護衛で、ひとりあたり銀貨40枚の契約だったかな? でも、警備の日数が減ったから減額されてるかも?」
僕がそう言うと、エノーラさんは書類を出してきて説明をする。
「ええ、今朝、建築ギルドのマスターがやって来て、報酬を変える手続きを行ないました。期間が短くなったので、警備の報酬は1人当り30枚となります。まずこちら、タカオさんの支払いですね」
そう言いながら、エノーラさんは銀貨を出してきた。
銀貨は10枚づつ積まれていて、枚数がひとめで分るようになっている。銀貨の枚数は、全部で40枚。おかしい、先ほどは30枚と言っていたのに……
タカオが思わずエノーラさんに聞く。
「あれ? これ40枚あるんですけど?」
「タカオさんの報酬は、警備の報酬が銀貨30枚。あと、狩りの獲物の解体を手伝った報酬が、銀貨10枚となっております」
それを聞いて、タカオが納得しながら銀貨を納める。
「ああ、なるほど。解体は大変だったからなぁ……」
確かに大変そうだった。解体の作業終わった時は、タカオはぐったりとしていたのが忘れられない。
「続いて、ユウリさんですね。こちら、金額が多いので、支払いが金貨となります」
そう言って、金貨が27枚も出てきた。金貨1枚は、銀貨10枚に相当する。明らかに数がおかしい。
「これは、ちょっと多すぎないでしょうか?」
僕がエノーラさんに聞くと、
「まず警備費用の銀貨30枚。倉庫魔法での輸送費用が銀貨20枚。料理の食材と調理費用が銀貨60枚。魔法による土地の整地が銀貨110枚。石づくりの台所の施設が銀貨50枚となっています」
あまりの金額に、
「あと、農家さんのお子さんの、魔法の学習費用の立て替えは、後日、支払われるそうですよ」
お金を貰いすぎだと思った僕は、エノーラさんに抗議をする。
「……いくらなんでも、貰いすぎじゃないでしょうか?」
「建築ギルドの親方が言うには、これでも安いらしいです。できれば、また頼むと言っていました」
「いや、でも……」
「もらっておけよ。お金はあって困る事はないし」
「……それでは、はい。もらっておきます」
僕はしぶしぶお金を受け取る。一ヶ月分のバイト料を、わずか数日で稼いでしまった。
お金のやり取りが終わると、タカオは話題を切り替える。
「俺たち、レベルが上がったんですよ。何かスキルを取得できるようになってると思うんですけど?」
「もうレベルアップですか、早いですね。さっそく調べましょう」
エノーラさんは、取得できるスキルの一覧を表示する魔法道具を使い、タカオを調べる。すると、こんなスキルが表示された。
◇操縦
・乗馬 必要ポイント1
◇魔法
・
◇戦士系
・剣修練 必要ポイント1
◇シーフ系
・
『乗馬』と『閃光防御魔法』というスキルが新たに出てきた。『剣修練』と『忍び足』は以前から覚えられるスキルだったが、スキルポイント不足だった為に、まだスキルを取っていない。
このリストを見ながら、タカオが言う。
「今回、レベルアップでもらえたスキルポイントは5ポイントか。『閃光防御魔法』ってカッコいいな、まずこれは取得しよう。『乗馬』もカッコいいから取得だ。 ……あとは、そうだな、『忍び足』でも取得しておくか」
名前だけで、効果がよく分らないスキルを取得しようとするタカオを僕が止める。
「ちょっと待ってよ、せめてスキルの効果を調べてから取得しようよ」
「いいや、この魔法は絶対に取得するぜ。エノーラさん、スキル取得の儀式だ!」
「はい、わかりました。ではスキルを
スキルを取得する魔法道具を使い、タカオは訳の分らないスキルを取得してしまった。
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