第7話

「・・・・良かったのか?」


「ん~?何が?」


短く切りそろえた緑髪の中でも特段異質を放っている一束の髪、俗にいうアホ毛をゆらゆらと揺らしながら歩く女性に不思議そうに問いかけるフードを深くかぶったローブの少女。


「さっきの二人、人間じゃなかった」


「そうだね~」


さっきの二人とはアイアンゴーレムとアイアンメイデンの事だ。彼らは騙し通せたと思っているようだが実際そうでもなかったようで彼女ら二人はそのことについて話を進める。


「わかっていたなら何故みすみす見逃した?」


「僕は勇者だからね!」


「それは理由として不鮮明」


勇者である彼女の的を得ない回答に若干の不満を覚え、ちゃんとした理由の説明を求める。するとさっきまでの朗らかな表情を引き締め、落ち着いたトーンで理由を話した。


「確かに僕達だけなら問答無用であの場で死合をしてもよかったんだけど、今回は僕たち以外の弱い冒険者さんがたくさんいるからね」


「他人を見下すのは褒められたことではない。とはいえあなたと我輩なら全員を守りながらでも十分戦えたはずだ」


彼女たちは自分たちの実力に絶対的な自信を持っている。でなければこれらの発言はできないだろう。ならその自信はどこから来ているか?それはこの会話を聞いてる他の冒険者が抗議の声をあげないのが何よりの証拠。


「さっきも言ったでしょ?僕は曲がりなりにも勇者だ。守られるべき人を進んで危険にさらしちゃダメなんだよ。わかったかいリリアル?」


「ん、あなたの普段の発言からして納得はできないが理解はしておこう勇者アカリ」


彼女たちはお互いに微笑むとそれ以上はこの話題には触れなかった。


(なーんてリリアルに話を合わせたけど、あの二人魔物だったんだ!?リリアルは凄腕の魔術師だから魔力の波形で分かったんだろうけど僕にはさっぱりわからないんだよね、勇者だからって分かってる体で話してくるのやめてほしいなぁ)


―――――彼女は魔を滅するために日々戦う勇者なのだ!!

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