第18話 炎竜ゼオルゲル戦 その7 休暇へ

「んでね、自分の住んでた世界には人間しかいないの。肌の色とか骨格とか体型とかに違いはあったりするけど、基本的には同じ人間一種類しかいないよ」

「魔法も無いのよね」

「魔法は使わなければ特に目立たないだろうけど、エルフはいないからね。その耳をどうにかして誤魔化さないといけないし、言葉や文字とかも分からないと、一緒に向こうにいる時に不便すると思う」

「それはそうね。あなたを私の生まれた故郷に連れ帰っても、言葉が通じないとやっぱり苦労するだろうし」


 いや、両親にご挨拶って、やっぱり、やったらそうなる感じ?というか自分としては全然ウェルカムなんだけど、中二ってまだ全然結婚出来ないしなー。いや財宝類売っ払えばよゆーで暮らせるだろうけど、セリカ一人残してしまう感じになるのかなー。それは嫌だな~。ミッションもどうせまだあるみたいだし。


<はい、ありますよ。それに、寿命の件については心配しなくて良いと申し上げておきましょう>


――その前に殺されて死ぬから?


<その可能性もありますがね。あなたは龍神の格を手に入れてしまった。セリクァ以下略も、もともと長命種だったところに龍神の加護を得て、さらに長命になった。あなた方二人は、寿命を心配するなら万年単位を生きてみてからにして下さい>


――マジで言ってる?


<マジです>


――え、って、それって、俺が大人の体になるまで


<そこはあなた次第と言っておきましょう>


「どうしたの、ハルキ?」

「いやごめん。ヘルプ機能さんと話してたんだ。とりあえず、俺たち二人とも寿命を気にする必要は無いってね」

「そう。それは嬉しいわね。とっても。そしたら二人の子供もたくさん作れるだろうし」

「そ、それは、そうだね」


 棒読みチックになったのは許して頂きたい。

 万年単位で子作りって、何人作るつもりなんだと・・・


「なあに?あなたは欲しくないの?」

「いや、それは、二人の愛の証だし?欲しいに決まってるけどさ。でも13歳てまだほんとに子供なのよ。特に俺の住んでる世界だと。国よって若干違うけど、大人として認められるのは20歳から。子供持つのはさらにもっと遅い人のが多いし」

「まぁ、あなたの言わんとしてる事も分かるわ。エルフにとって13歳なんてほんの赤子。100歳くらいでようやく大人に認められるくらいだから」

「・・・あ、あの、具体的には要らないんだけど」

「十分な大人になってるとだけ言っておくわ。それ以上は聞かないで」

「了解であります!」

「それで、竜の財宝には、言葉とか外見とかをどうにか誤魔化してくれるようなの、あるのかしら?」


――どうなんですかね、ヘルプ機能さん?


 貯蔵庫の資材は、竜の財宝、ドゴンザー一家の財宝、その他資源類、モンスターの死体の類という感じで、いつの間にかフォルダー分けしてくれてた。


 ヘルプ機能さん、仕事出来過ぎか!?


<ありますね。それも複数種。どのような物をお望みですか?>


 とか言いつつ、ちゃんと視野内にお勧めアイテムの一覧表示してくれるヘルプ機能さん大好き!あい、いやこれは止めておこう。いつか刺されそうで怖い。


<刺しませんよ?>


――いやほんとスンマセンでした調子こいて


 てな脳内掛け合いはさておき。表示されたアイテムの中から、本人の魔力負担(魔法が使えない世界なので、本人の負担がこちらの世界よりも大きいらしい)が少ない物や、龍神の加護から来る衝動(怖っ!)を抑える物とか、顔の一部を誤魔化して認識をあやふやにさせてしまうのとか、指輪とかネックレス、イヤリングといった感じの装飾品で賄えました。

 ちなみに、元世界の日本では入手不可なアイテムなので、すっごい金額になってたけど、今後の為に売りませんでした。仲間も増えるかも知れないしね!


 さらに、元世界での服装を、ファッション雑誌みたいのも購入してから選んでもらい、アマ○ン真っ青な即時入手の嵐で、旅行者御用達のころころ付きキャリーケースとか、どんなシナリオで二人が出会ったのかというストーリー口裏合わせの設定とか諸々を詰め終わるまでで時間ぎりぎりとなり、俺はほんの出来心で、この地下室に青いポータルを残しておいた。


 その一瞬後、手を取り合った俺とセリカは、自宅の玄関前に並んで立っていたのだった。


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