第8話 ドゴンザー一家殲滅戦 その1 潜入
で、結論から言うと、無事依頼は受けられました。
ギルドから出て、さっそく現場の方へ。
自宅に招待して細かい経緯とか説明してくれようとしたんだけど、時間が惜しいし、冒険者が恐れてギルドも仲介に入ろうとしないくらいなら、ものすごいヤバイ相手だというのは想像できた。
さっきギルドで起こした騒ぎがもう伝わっててもおかしくないし、このおじさんの自宅なんて監視されてる筈。絶対に。
娘さんが浚われてるだろうドゴンザー一家の邸宅だけ遠目から位置を確認させてもらって、助け出す間に、身の回りの物をまとめてこの町から逃げ出す準備を終えて、城壁の門の前で待ち合わせることにした。
ついでに、おじさんが知ってる近くの空き家の位置も教えてもらった。何をするつもりか聞かれたけど、秘密の一言で押し通した。
「てわけで、ヘルプ機能さん、方向とかの指示よろしくねー」
<いつもいつもお願いに応えるわけでは無いので、頼り過ぎないよう注意して下さい>
おおっ、ツンデレっ!とか思ったのは公然の秘密だ。思考読まれてるぽいし。
そんなわけで、やっぱりあった邸宅の地下室とか地下倉庫とか牢屋とか拷問室の近くまで地下通路を掘り進めて、壁の手前で、深さ100メートルくらいの縦穴を掘っていった。
やり方は単純。真下方向に直径1.4メートルの穴を削り、土は貯蔵庫の中へ、をひたすらくりかえし、充分深く掘ったら赤ポータル出して、地下通路の壁に設置しておいた青ポータルから帰還。ポータル両方消して、貯蔵庫から落とし穴の半分くらいまで水で満たして、いったん岩の板で落とし穴をふさいでおきます。
準備が整ったら、いよいよ戦闘開始!てか基本的にスニークミッションなんだけどね。
壁に耳を押し当てて、向こう側の気配を探ってから壁を削り取って移動したそこは、拷問室。△木馬とか何に使うのか清純な俺にはさっぱりわからないわー、でもいつか何かの役に立つかも!?とか思い全部収納していった。
そして部屋の中を空っぽにしてから、扉の先の気配を探る。誰かが居眠りしてるようないびきがかすかに聞こえた。鍵はかかってなかったので、棒の先に手鏡をつけた小道具で、扉の先の空間の様子を探った。
薄暗い牢屋の鉄格子と入口が並んだ廊下と階段。その先の椅子でまどろんでいるいかにもーなおっさんが一人。扉から椅子までの距離はおよそ4メートルくらい。おっさんの体積的に、直径1メートルは欲しい。 こーいうのは迷ったら負け!とは思いつつ、扉の逆側の気配も探って誰もいなさそうなのも気にしてから、そろりそろりとドアの隙間から出て、牢屋の鉄格子の手前で止まり、およそ2メートルくらいの距離から、おっさんの足下に赤ポータルを展開。
するとあら不思議。椅子ごとすっぽりとポータルの先へとおっさんの姿は消えていった。どこかって、落とし穴を塞いだ岩の板の裏に下向きに展開してある青ポータルから遥か地下へと椅子に座ったまま落ちていっただろう。
素早く赤ポータルを消し、地下への階段通路を岩とかでぎっちぎちに埋めておく。
それから廊下のスペースをくまなく探して隠しスペースや潜伏してる誰かがいないことを確認したら、ようやく牢屋の前へと登場だ。
「助けに来た。ランバルという人の娘、レイチェルはいるか?」
牢屋は、四つあった。男部屋、女部屋、子供部屋。あともう一つは鉄格子ではなく、重々しい扉で閉ざされていた。
「助け、ってほんとに?逃げても、殺されない?」
「知らん。俺が今出来るのは、ここから逃げる手助けをするくらいだ。んで、レイチェルって女の子はいるのか?昨日の晩浚われてきたばかりの筈なんだけど」
「その子なら、ボスのとこで可愛がられてるのかもね。で、逃げるってどうやって?あの牢番が鍵とかも持ってたんだけど?」
薄汚れてたけど、手かせ足かせをはめられた女の子が鉄格子の傍に歩いてきたから、とりあえず鉄格子を収納して消し去った。それだけでインパクトはあったらしいけど、歩み寄ってきた女の子の手かせ足かせも収納して外した。
「他にも外して欲しい人がいれば言って。そのままでいたい人のまで無理して外さないから」
若い女の子は、みんな解放を願った。男の人は半分くらい。鉄格子は全部消して、逃げる人達に子供達も連れていってくれるよう頼んでおいた。
数人から名前を聞かれたけど、
「知らない誰かに助けてもらった。名前を聞いたけど名乗らなかったって方が安全でしょう?」
というと、頭を下げられて逃げる人は逃げて行った。
そして残った重々しい扉。この先にも人の気配は無かったので、先ずは扉を収納。中は物置というか何かの貯蔵庫ぽかったので、手当たり次第に全部収納した後は、青ポータルを張り直してから、いよいよ本番!
地下への階段を塞いでいた岩を収納し直すと、さっそくそれらしい方々が集団で現れた。薄暗い螺旋階段というのも有利に働いた。
「なんだ手前はどっから沸いて出やがった!?」
「とりあえず死ねやおらぁっ!?」
とか言いながら、彼らの足元に出した赤ポータルに次々と呑み込まれていった。
警戒して立ち止まっても関係無い。爆竹に火をつけて彼らの頭上に放り投げてから、その足元に赤ポータルを出すと、頭上を見上げたまま落ちていった。稀に反応のいい人が穴の淵に手をかけて粘ろうとしたけど、格納庫から出した岩を落としてあげて仕留めた。いや、そのまま赤ポータル閉じても良かったけど、スプラッタ避けられたら避けるべきじゃない?
そんな感じに10人くらいを仕留めてから、再び青ポータルに更新かけて、ふと視野を見ると、
ドゴンザー:生存
レイチェル:生存
手下:33/44
町全体:178/189
とか左下辺りに表示されてた。
ついでのようにスキルレベルは15に上がってた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます