アルマナイマの地に住む人々・セムタムの成人の証は背骨に沿って彫られる入墨だ。ある青年は、彫り師にカッコいい入墨を所望する。しかし彫り師が提示したデザインの太い線が時代遅れで、青年は気に入らない。青年の成人の証にして姓となる入墨を観察るために、ドクは青年と彫り師のもとにやってきていた。
ドクは、セムタムの人々を研究するフィールドワーカーという部外者だったが、セムタムの成人の儀を通して、成人したセムタムとして、今ではセムタムの社会に馴染んでいた。
青年は入墨を入れて、泳ぎに入る。これもまた、儀礼的なものだ。しかし、泳いで陸に上がった青年の背中から、彫ったはずの猛禽類の入墨がなくなっていた。そこで登場したのは、セムタムの呪術師だ。何と彼は、青年が嫌がったために、入墨が逃げたというのだ。呪術師が言うには、入墨を釣り上げることで、元に戻せるというのだが……。
果たして「入墨が逃げる」とは? 「入墨を釣り上げる」とは?
セムタムの民族誌がここにある。
民族学が好きな方は、このシリーズがお勧め!
是非、ご一読ください。