11.僕からのプレゼントだ。嬉しいだろ?

「メリークリスマス!!」

パンパンっ!

煩い。

なんだそれ。

ゴミをまき散らすなよ‥‥。

でも、今日は小言なしにしてやる。

クリスマスって言うんだろ?

ケーキとチキンを囲んで、家族で食べるイベント。

何回目か…僕は、数なんて覚えてないけど、去年は、君がこけてケーキを落としたのは知ってる。

それに、このキラキラした木だ。

色々、ぶら下がっていて気になるな‥‥。

前に、ママに怒られてから手は出してない。

だって、僕は賢いし、空気が読めるからな。


「これは、パパとママからのクリスマスプレゼントだぞ。」

「やったー!これって、好きなバンドのチケット!しかも、最前列!ありがとう!パパ!ママ!」

‥‥君は、本当に現金だな。

昨日までは、パパの洗濯物がどうとか、こうとか言ってたのに。

ママにも、宿題しろって怒られてたくせに…。

全く…。

「ねぇ!見て!このブレス、チケットに付いてくる景品なんだって!超ラッキーじゃん!サンタのお陰かもね!」

サンタ?

サンタじゃなくて、パパとママのお陰に決まってるだろ。

君は、いつまでサンタを信じてるんだ。

サンタなんて、ただの侵入者だろ。

僕の家で、そんな奴がいるわけないだろ。

毎日ちゃんと、見回っているんだから。


「あっ!これ!私からのクリスマスプレゼントだよ!これね、種類がいっぱいあって、すごぉ~く、悩んで決めたの。」

なに?僕の為のクリスマスプレゼント?

君にしては、気が利くな…。

受け取ってあげても吝かじゃないぞ!


「んじゃ、着せてあげるね!」

ぬっ…いま、なんて着せ?

えっ‥ちょっ!まさか、まてまて。

いやっ…僕、それ要らないから!

いやぁぁあああああ!!


「わぁ~!可愛い!すっごく似合ってるよ!サンタのポンチョと帽子!可愛い~。写真撮らしてね!」

パシャパシャパシャパシャ。

「似合ってるぞ。さすが、パパとママの子だ!」


…‥‥。

‥…‥‥。

‥…‥…‥‥。

不服だ。

不服申し立てをする。

この僕に、こんな赤くてモフモフしてる服を着せるなんて…。

これは、僕対するいじめだ…。

家庭内暴力だ。

今日は、小言をなしにしてやったのに…。

「ほらっ、もう取って脱がしてあげなさい。目が据わってきてるわよ。」

「あっ。ほんとだ。しょうがないな。可愛いのに!」

ぬぎぬぎっ。

タッタッタッタッ。

「あれっ?どこいくの?」

「あぁ~あ。あんたが、怒らすから。」

「えぇ~!可愛いのに何が不満なのよ。」




ダッ!ダッダッダダダダッ!

バシッッ!

よし!

なにが、不満だって?

全部だ。

それと、これが僕からのクリスマスプレゼントだ!



チュンチュンッ!

「おはよぉ~‥‥…きゃぁぁぁああああああ!!!!ママっ!!!」

フフンッ!嬉しいだろ?

君が、それを家で見るたびに喜んでるだろ?

2個も集めてやったぞ。

そのばっちい奴。

ありがたく思え!!!

フンッ!

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