8.その邪魔なの僕が取ってやるよ

「見てみて!ちょー可愛くない?今日ね、ママに買って貰ったんだ!いいでしょ!」

ふん~。

へぇ~。

「ねぇ!ちゃんと見てよ!冬用に、モコモコにしたんだ!上は、パーカーになっていて、ボンボンもついてるの!可愛いよねぇ~。ほらほらっ!」

なんだよ…うっとおしいな‥‥。

僕は、寝てたいんだよ。

それに、ボンボンってなんだ?

パパが、たまに食べてる黒い玉のことか?

ぬぅ…。

やめろ…。

僕の耳をなんか、フサフサする奴で触るな!


「痛って!…いきなりパンチしないでよ!」

全く…ボンボンってそれか…。

なんだそれは?

胸元に玉が、2つもあるじゃないか‥。

‥‥。

‥…‥‥邪魔だな。

なにをブラブラさせてるんだ…。

そんなのが、胸元についてたら君も邪魔だろ‥‥。

どれっ‥僕が、君のために取ってやるよ。

どうせ、君のことだ。

そんなちっさい玉も取ることも出来ないんだろ?


「うわっ!!ちょっ!いきなりなに!?!?」

こらっ!

動くんじゃない!

そんな、邪魔なものを付けてたら不便だろ?

君は、脱ぎかけたズボンにも、引っ掛かってコケるし。

ひらひらした、布を巻いてたら、引っ掛けて破くし。

どうせ、その玉もあったら、怪我するだけだ。

僕が、取ってやる。

大人しくしろ!

「えっ!もしかして、このボンボン狙ってるの?ちょっ‥ヤダって!」

ダダダダダッ!

あっ!走るな!

僕は、いま追いかけっこしたい気分じゃないんだぞ。

大人しくしろ。

トンッ、トンットン!


「きゃっ!…あぁぁぁ!ママ!ボンボン1個取られた!!」

「あぁ~あ。だから、言ったじゃない。絶対取られるって!」

よしっ!

1個取れた。

あと、1個だ。

これは、君のためにしてるんだからな!

感謝して欲しいくらいだ。

次は、大人しく座ってろよ!

トンッ!


「うわっ……あぁーーーーやられた‥…。もう…この服、可愛くなくなっちゃったじゃんか…。」

…?

なんで、睨むんだよ?

僕が、取らなきゃ君は、いつか怪我をしてたんだぞ!

それに、その服はモコモコしてて寝心地が良さそうじゃないか‥。

君が、使わないのなら僕が使ってやるよ。

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