3.僕の言うことが聞けないの?

「ちょっ!いてててっ!引っ掻かないでよ!痛いでしょ!」

嫌だって言ってるのがわからないか!

僕は、嫌だって言ってるだろ!

「あっ!早い!待って!」

ふんっ!のろまな君が、僕のスピードについてこられるわけないだろ!

捕まえられるものなら、捕まえてみろ!

僕の体にも触れないくせに。

ふんだっ!


「ちょっと!二人ともまだなの?」

「ママっ!だって、言うこと聞いてくれないんだもん!」

「もぉー早くして。」

ふんっ!べぇーだっ!

僕は、君が来られないであろう、高いところに行った。

どうだ!

高いところも、狭いところも苦手な君がこんな所に来れないだろ?

ほらっほらっ!どうだ!


「もうっ!今日は、おばあちゃんの家に行くって言ったじゃん!何が嫌なのよ!」

何が嫌だって?

全部だ!

僕を無理やり、おばあちゃん家に連れて行くことも…。

車に乗って我慢しなきゃいけないのも…。

おばあちゃん家の線香の匂いも‥。

それに…僕は今日はそんな気分じゃない!

だから…全部嫌だ!

勝手に行けばいいだろ?

僕は、独りでお留守番するし、出来るんだから!


「ねぇ!本当にお願いだから…降りて来てよぉ‥‥。」

うっ!

そんな、泣きそうな声で言うなんて卑怯じゃないか…。

僕が、泣いている君の事を放って置けないのを知ってでやってるんだろ?

そんな、子どもじみた真似に引っ掛かるほど、僕はまぬけじゃない。

子どものお遊戯会レベルで、僕を騙せると思ったら大間違いだ!

大根役者め!

それに、僕の言うことを聞けないなんて…。

ふんっ!


「なんで…なんでよ‥ぐずっ…。」

なっ!

なっなんで、泣くんだよ!

僕が悪い者みたいじゃないか…。

あぁ…もう!

行けば‥行けばいいんだろ!

行ってやるよ!

おばあちゃん家だろうが、どこだろうが!

その代わり、僕の言うことなんでも聞けよ!

トンっ。

泣き虫の君は、本当に手がかかる。

ほらっ!降りてやったぞ。


「うわっ!ちょっ!いきなり体当たりしないでよ。もうっ!」

泣いたり、怒ったり忙しいな君は。

ほらっ!僕に来て欲しいんだろ?

僕を運べ!

「んもぉ…次は、おんぶなの?甘えただなぁ~。」

はぁ?

僕が、甘えたな訳じゃない。

君には、僕のいうことを聞く義務があるんだ!

バシッ!


「痛いっ!殴らないでよ。」

ほんと、君はうるさいな。

早く歩けよ。

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