1,君の晩御飯も僕のモノ!
秋の風が、僕の頬をなでる。
花の甘いにおい、枯葉の音、小さな虫たちの声。
隣の家から、漂ってくる匂い…今日はサンマなんだ…。
羨ましい。
僕、なんて朝は鶏肉だった。
本当は、魚の方が好きなのに。
「あれ?今日もここにいるの?寒くない?」
鶏肉しかくれない奴は僕に、話しかけないで欲しい。
「もう!直ぐに無視するんだから。わかったわよ!今日は、お魚にしてあげる!」
僕は、その言葉に振り向いた。
そうか!魚か!僕は、サンマがいい!
サンマはいいぞ。
少し、苦めの内臓と、パリパリとした皮。
魚と言えば、サンマだ。
僕は、嬉しくなって、机に座った。
「こぅら!また、こんな所に座って!ママに言いつけるわよ!」
ふんっ!今は、機嫌が良いんだ!
ママに言われようが、構うか!
「2人共!晩御飯で来たわよ!降りてきなさい。」
あぁ~ほら!
ママが僕たちを呼んでいるじゃないか!
ほらっ!早く行くぞ!
「ちょっ!待って!置いて行かないでよ!」
遅い遅い!
本当に遅いんだから。
君の晩御飯も僕が、食べちゃうんだからな!
やっぱり、僕の方が早く着いた。
のろまめ。
もっと、足をシャカシャカ動かせないのか?
「ほらっ。どうぞ。今日は、お魚よ。」
わぁーいっ…って!
サンマじゃない!!
カツオだと!
この季節にカツオだなんて…。
カツオは、7月から9月が旬なんだ!
なんで、10月に…。
あぁ‥きっと安かったんだ…。
ちくしょう‥‥。
僕は、黙って食べることにした…。
んん?あれ?サンマの匂いもするぞ?
お隣の匂いだったはず…。
どこからだ?
「美味しいぃ~!秋は、やっぱサンマだよね!」
‥‥なにっ…。
僕には、カツオを食べさして…。
君は、サンマなのか!!
許せん!
「あっ!こっ…こら!自分の食べなさいよ!」
ふふんっ!
のろまめ!
僕に、サンマを出さないからだ。
遅いのが悪い!
「ちょっと!ママも怒ってよ!」
「迂闊に取られるあんたが悪い。こらっちゃんと座って食べなさい。」
は~い。
ほぅ~らぁ!ママも僕の味方だ!
やっぱり、君の晩御飯も僕のモノだ!
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