74「最悪の精神攻撃です」①
私、サム子!
聖ビンビン学園に通う可憐な一年生!
今日はご飯を食べる時間がなかったから、食パンを咥えて全力ダッシュ中。
てへへ、ちょっと恥ずかしいな!
私は走りながら、パンをもぐもぐしながら牛乳パックにストローを刺してちゅーっと飲む。
ごくん、と朝食を飲み込むと、お腹いっぱいになって大満足。
「今日も学校ね! いいことあるといいな!」
もう少しで学校の校門だ。
そう思った時だった。
「――きゃっ」
曲がり角で人とぶつかっちゃった!
「ごめんなさい! 私ったら、よそ見していて」
慌てて謝罪して、驚いちゃった!
だって、ぶつかった相手が、聖ビンビン学園で三大お姉様と名高いギュン子・イグナーツお姉様だったんだもん!
「はわわわわわわ! ご、ごめんなさい、イグナーツ様!」
切腹覚悟で謝罪する私に、イグナーツ様は優しく微笑んでくれた。
「いいのよ。ふふ、おてんばな子ね。元気なことはいいけど気をつけなさい」
「は、はい! すみませんでした、失礼します!」
恥ずかしくなってこの場から逃げようとした私を、
「お待ちなさい」
イグナーツ様が止めた。
どうしよう?
もしかして、怒られちゃう?
憧れのギュン子・イグナーツ様に怒られたら、凹んじゃうかも。
だけど、私の心配は杞憂だった。
イグナーツ様がそっと手を伸ばすと、私の首に向かった。
細くしなやか指が、私のリボンにそっと触れる。
「リボンが曲がっていらしてよ」
「はわわわわわっ」
「じっとして。直してさしあげるわ」
「お、お願いします!」
ギュン子様が、いえ、お姉様が目と鼻の先に!
と、吐息がかかるぅ!
サム子変になっちゃうぅ!
「いいわ。聖ビンビン学園の生徒としてきちんとなさい」
「は、はい! ありがとうございます!」
「じゃあ、わたくしはこれで」
微笑を浮かべて去っていくギュン子様に私は慌ててお辞儀をする。
こ、これがきっかけにお近づきになれないかな?
なーんてね!
お姉様は雲の上の存在だもん。
無理無理!
だけど、未練がましい私は、お姉様の背後をつけるように学園を目指す。
校門の前には先生たちが立っている。
聖ビンビン学園は校則が厳しくて有名だ。
毎日先生が目を光らせているのだ。
「おはようございます」
先生方に挨拶をするお姉様。
すると、学年主任のクリー先生が近づく。
「……おはようございますわ、ギュン子さん」
「おはよう、ございます。クリー先生」
え? なんか近くない?
クリー先生は、ギュン子お姉様に対して一歩近い気がする。
神々しくて近寄りがたいお姉様のお身体にぴたりとくっつけてるとか、うらや……破廉恥!
「放課後、いつもの場所でまっていますわ」
「せ、先生、こんなところで……」
「いいですわね?」
「……はい。わかりました」
え? え? え?
どういうこと?
お姉様を呼び出してクリー先生はなにをしようというの、なんでお姉様は苦しげな顔をしているのに、頬が少し赤いの?
――サム子わかんない!
「な・ん・だ・こ・れ・はぁあああああああああああああああああああああ!?」
短くも永遠に感じる寸劇を見せられたサムが、叫び魔力を高めて爆発させた。
「こんなしょうもない幻を見せんな! 精神攻撃っていう意味ならあっているけどさ! それでも、もっと他にあるでしょう! ――全てを斬り裂く者!」
サムは視界に広がる空間を全力で斬り裂いた。
〜〜あとがき〜〜
申し訳ございません。まだ本調子じゃないんです。
カドコミ様にて「いずれ最強に至る転生魔法使い」最新話(十八話)が更新されております! ぜひお読みいただけますと幸いです!
最新コミック3巻も発売したてですので、ぜひぜひお読みいただけますと嬉しいです!
GWのお供に何卒よろしくお願いいたします!
※明日も二回更新です!
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