69「子供たちを保護します」





 ウルリーケ・ウォーカー・ファレルは、白い息を吐く。


「スノーデン王国で楽しい戦いをなんて思っていたけど、寒いだけだったな。……仕方がない、当初の予定通りこの国を滅ぼして終わりにするか。だけど、その前に」


 ウルは軽く腕を振るった。

 次の瞬間、離れた場所で棒立ちしていた全裸の少年少女たちの首輪が砕け、地面に落ちる。


「後回しにして悪かったな。すぐに服を、お、あったあった。メイドの私物だろうけど、まあ、いいか」


 子供たちには少し大きかったが、メイド服と厚手の上着を着せていく。

 子供たちは無抵抗だった。

 戸惑いはあるようだが、きっと今まで抵抗して暴力を振るわれたのだろう。

 ウルが少し動くだけで、びくり、と震えてしまう。

 それでも、抵抗はしなかった。


「よし。これで少しは暖かいだろう。男の子にメイド服を着せたのは申し訳ないが、全裸よりもマシだと思ってくれ」


 ウルは務めて優しい声を出すが、少年少女たちは警戒を見せている。

 無理もない。

 子供たちを苦しめた男をあっさりと殺すほど強いのだ。子供たちも、なにかの拍子にあっさりと自分たちが殺されてしまうのだと考えているようだ。


「あー、どうするか。とりあえず、そこの少女」

「…………はい」


 一番年長と思われる少女を選び、ウルが声をかける。

 現在のウルよりも少し年下に見える少女だが、痩せ細っているため幼く見えるだけかもしれない。


「しばらく私についてこい。守ってやる。その後に、私が住んでいるスカイ王国に連れて行ってやるから安心しろ」

「…………」

「私を信用しろとはいわないけど、考えてみろ。どちらにせよ、あの男は死んだ。この国ももうだめだ。なら、私についてきてもお前たちに変わりはないだろう?」

「……死んだほうがマシということもあります」

「はっ、じゃあ、今までは死んだほうがマシじゃなかったわけだ?」

「それは」

「言っておくが、私は親切心で声をかけたわけじゃない。お前たちが嫌なら、お願いしてでもついてきてほしいなんて思ってもいない。勝手にしろ」


 ウルはそう言い残して歩いていく。

 子供たちは、しばらくその場に立ち尽くしていたが、なにかを考えたようで自らの足でウルを追いかけた。


 ウルは背後から駆け寄ってくる子供たちに気づくと、手招きをする。


「予定ではこの城を破壊するはずだったが、まずお前たちの避難をはじめないとな。そこで、だ。ラッキースケベしそうな顔をした男を見つけるぞ。スケベなやつだが、転移の腕は一級品だ。少しくらい尻を触られても我慢してやれ」


 子供たちはウルの言葉の意味を理解していないようだった。

 まあいいや、とウルは詳細を説明して怯えられても面倒だ、と魔王遠藤友也の元へ向かった。






 〜〜あとがき〜〜

 子供は保護です!


 カドコミ様にて「いずれ最強に至る転生魔法使い」最新話(十八話)が更新されております! ぜひお読みいただけますと幸いです!

 最新コミック3巻も発売したてですので、ぜひぜひお読みいただけますと嬉しいです!

 何卒よろしくお願いいたします!

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