間話「ジョナサンとギュンターです」
その頃、スカイ王国では。
「やあやあ、少年少女たち! この国で一番の紳士とは誰かって? それは、僕さ!」
「ギュンター・イグナーツ様ですわぁ! いよっ、スカイ王国一の伊達男!」
「ふっ、褒めてもギュン汁しかでないよ!」
「さすがギュンター様ですわ!」
「はっはっはっ!」
食堂に集められていたスノーデン王国で保護した子供たちの前に、ハイテンションなギュンターとクリーが現れた。
個性的なふたりの登場に、お茶を飲んでいた子供たちがぽかんとしている。
「……ギュンター、子供たちが怯えているではないか」
「これはこれはおじさま! このギュンギュン! サムとウルに置いていかれたので空元気です!」
「そ、そうか」
「なぜ友也くんとレプシーくんを連れて行ったのに、僕を置いていったんだい!? ――っ、もしや僕に万が一のことがあったら困るという……つまり愛」
「私が知る限り、ギュンターに万が一があったことはないと思うんだが」
胃薬を飲み、気を引き締めたジョナサンだったが、ギュンターとクリーというトラブルメーカーが現れたことに、胃が痛くなった。
まだ胃薬が効いていないのに、刺激が強すぎる。
「ふむ。しかし、口頭でスノーデン王国の現状を聞いていましたが、思っていたよりも酷いようですね」
「あ、急に真面目になるのか。ご、ごほん。残念ながら、王族貴族がやりたい放題のようだ」
「愚かな。民があってこその貴族であるとスノーデン王国ではわからないのか」
「わからないからこそ、愚行を繰り返すのだろう」
ギュンターやジョナサンのように、民から慕われている貴族にとって、民を虐げる貴族がまるで理解ができない。
「まったくですわ。わたくしも領地では、貴族や平民関係なくかわいがっていただいておりましたので……民を、それも子供を虐げるとは……許せませんわ」
クリーも、小さい領地で民とは家族のようだったので、子供を飢えさせる貴族の神経がわからなかった。
無論、そんな貴族の弁明もなにも聞きたくない。聞いたところで、理解などできないのだから。
「おじさま、子供たちはこれからどうするおつもりでしょうか?」
「相談は必要だが、孤児院に預けて学校にも通ってもらおうと思っている。少し話したが、みんな礼儀正しくいい子たちだ。警戒心はあるが、理解ができる」
「まずは心を解きほぐすところから始めるべきですね」
「子供たちはサムやウル、レプシー殿、友也殿の帰りを待ちたいと言っている。四人には心を許しているようだ」
「さすがサムとウルですね。子供たちのハートをがっちりつかんでいる! ……レプシーくんはさておき、ラッキースケベ大魔王はどうでラッキースケベっているのでしょうが」
「だろうな」
子供たちは、ギュンターとジョナサンを伺いながら緊張している。
だが、いたずらに席を立ったりすることはなく、お行儀良くしている。
もしくは、警戒と緊張ゆえに動けないかもしれない。
「……子供たちが安心できるよう、これから陛下にお会いしてこようと思う。子供を保護しただけならいざしらず、サムたちはスノーデン王国とことを構えるようだ」
「……サムとウルが揃っていますからね。簡単に予想できます」
「はあ。スノーデン王国がサムたちの実力を見て降伏してくれるといいのだが」
「おもしろい冗談ですね、おじさま。それほどの理解があるのならば、国を貧しくしたりしません」
「……はぁ。ならばあの四人がスノーデン王国を更地にしないことを祈ろう」
「個人的には、更地にしてしまったほうがあとあと整備がしやすいと思うんですが」
ギュンターの言葉に、ジョナサンはつい頷きそうになる。
が、慌てて耐える。
さすがに立場上、頷くわけにはいかなかった。
〜〜あとがき〜〜
でも、更地にすると後々楽ですよね!
カドコミ様にて「いずれ最強に至る転生魔法使い」最新話(十八話)が更新されております! ぜひお読みいただけますと幸いです!
最新コミック3巻も発売したてですので、ぜひぜひお読みいただけますと嬉しいです!
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