49「殴り込みです!」④
スノーデン王国宮廷魔法使い第三席モニソン・ログは、子爵家の三男に生まれたが、一番魔力があったため、長男、次男を蹴落として子爵家当主となった。
炎を魔法を得意とし、相手が焼け死ぬまで炎を維持する魔力が得意だ。
お家騒動で実の兄二人を焼き殺したことから、ついた通り名は、火炙りのモニソン。
まだ二十五歳という若さで、宮廷魔法使い第三席の席も手に入れた。
――自らの輝かしい功績を走馬灯で見ながら、モニソン・ログは手足を斬り落とされ、腹部に大穴を開けられ身体がちぎれ飛び、燃え盛る炎で上半身を焼き尽くされ絶命した。
■
「…………」
「…………」
「…………雑魚すぎだろ!」
サム、レプシーが絶句し、ウルが叫んだ。
人間でありながら人外の力を持つ三人が相手でも、一国の宮廷魔法使いなのだからそれなりにやると思われていた。
モニソンと名乗った宮廷魔法使いは、堂々とした名乗りだけすると、指一本動かすことなく下半身だけを残して絶命し、灰となった。
あまりにもあっけなさすぎる。
「な、なあ、サム」
「……なにかな?」
「まさかとは思うけど、この国の宮廷魔法使いって……」
「ジョナサンお義父様も言っていたけど、この国って……」
「いやいやいや、それでもさ! 仮にも宮廷魔法使いなら周囲のモンスターを倒すくらいの力があるはじゃないのか!?」
ウルの疑問に、サムとレプシーも「確かに」と腕を組む。
そんな三人に恐る恐る声をかけたのは、ジーナとタマラだった。
「あの、モニソン・ログ宮廷魔法使いは……モンスターと戦うことはまずないんだ」
「人間専門の悪党なんだ!」
「はぁ!?」
「この男は……いや、大半の宮廷魔法使いは国の飾りだ。モンスターを倒すのは騎士や兵士の……それも末端の仕事だ。多くの犠牲を出し、死んでもなにも保証もなく、むしろ役ただずだと罵倒される」
「モニソン・ログは人を焼くのが好きなだけの悪党だ! ただ、魔力があって魔法が使えるから宮廷魔法使いとしてふんぞり返っているだけなんだ!」
「聞けば聞くほどクズですね」
友也も、スノーデン王国に怒りを露わにしていた。
すでに部下が殺されている。
その部下のためにも、この国を掌握し、軌道修正できるかもしれないと考えたこともあった。
しかし、この国の子供と接し、宮廷魔法使いという国の顔を見たことで、自らの考えが甘かったことを思い知った。
「遅くなりましたが、僕も決意しました。この国は滅びた方がいい」
「よく言った! ラッキースケベ大魔王! 好きなだけこの国にラッキースケベしていいぞ!」
「いえ、ウルくん。さすがの僕も国にラッキースケベできませんから!?」
「え?」
「……そんな、信じられないみたいな顔をされてもこちらが信じられないんですけど」
友也は叫びながら、指を鳴らす。
次の瞬間、少し離れていたところからこちらを窺っていた魔法使い風の男の衣服が全て破け、彼の四肢が引きちぎられた。
「逃げ出す馬鹿ばかりではないようですが、肝心な勇者が出てきませんね。仕方がありません、手分けをしてこの国の勇者を、宮廷魔法使いを、騎士を――敵対する全てを潰しましょう」
〜〜あとがき〜〜
ラッキースケベ先輩「あえて脱がしてから殺すのがラッキースケベスタイル!」
3/27に「いずれ最強に至る転生魔法使い」コミック3巻が発売となりました!
何卒よろしくお願いいたします!
※申し訳ございません。本日、所用のためコメントへのお返事をお休みさせていただきます。よろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます