47「殴り込みです!」②





 サムたちは、城の中に入った。

 すると、武装した騎士たちが走ってくる。

 騎士たちは殺意よりも戸惑いと恐怖のほうな大きいように感じた。


「魔法使いはいないか」

「舐められたものだな」


 サムとウルは指を鳴らし、肩を回す。

 やる気満々だ。


「仕方がありません、レプシー。ジーナさんとタマラさんを守っていてください。あなたが手を出すほどの敵は出てこないでしょうから」

「……私も戦いたいのだが」

「まさかの!? あれ? そんな好戦的でしたっけ?」

「はははは。ウルと共に異世界でやんちゃしてしまったからね。また、この世界で自分がどれだけ通用するのか確認したいというのもある」

「……勇者に圧勝している時点で……別にいいです。どうぞ」


 ざっと三十人の騎士を前に、サム、ウル、レプシーが横に並んだ。


「貴様ら! ここをスノーデン王国王宮と知っての狼藉か!」

「もちろん、知ってるさ。寒さと飢えに苦しむ子供達を放置するふざけた国の王様が住んでいるんだろう?」


 サムが挑発を兼ねて問いかけると、騎士の中で鎧が煌びやかな騎士が代表して応える。

 おそらく、立場が上の騎士なのだろう。

 そんな騎士が鼻で笑う。


「はっ、なにを言うかと思えば! この国の人間ではないと見るが、他国の人間がスノーデン王国の問題に関わらないでいただこう!」

「いーやーだー!」

「……役に立たない孤児など死んでもらって構わん。貴様らの自己満足の正義感でこちらに迷惑をかけないでいただこう」

「なんだと?」

「勇者様の的になることを拒み、貴族様の奴隷になることからも逃げるような子など死んでも構わぬと言っているのだ! ――安心しろ、貴様たちもここで殺してやる。なに、寒さで死ぬ子供とあの世で仲良くするといい」

「……スノーデン王国の騎士の総意でいいな?」

「無論!」

「そっかそっか、あー、よかった。あんたらがクズでよかったわ」


 代表した騎士の言葉に反論するものはおらず、むしろ当たり前だとばかりににやにやわらう騎士たち。

 サムは安心した。


「なら、死ね」


 サムが蹴りを放つと、笑っていた先頭に立つ騎士がくの字に曲り吹き飛んだ。

 轟音を立てて堅牢な城を揺るがすと、蜘蛛の巣上に壁を砕き、地面に崩れ落ちる。

 立ち上がることはない。

 サムが魔力に頼らないとはいえ、全力で蹴ったのだ。

 絶命している。


「サム! レプシー! ひとり十人だ! 力使うなよ! 鍛えた肉体だけで準備運動を兼ねるぞ!」

「やれやれ、このような相手に無駄な時間を割きたくないが、いいだろう」


 ウルの拳が鎧を凹ませ、騎士が血を吐く。

 レプシーの鞭のようにしなやかな蹴りが騎士の膝を砕き、よろけた騎士の顔に踵を落とす。


「うわぁ、サムとウルは力任せ、レプシーは的確な攻撃……どっちもこわいですね」


 骨の折れる音、叫び、戸惑いと恐怖の声を聞きながら、友也は肩をすくめた。


「ちなみに、お前が戦った場合はどうなる?」


 ジーナの疑問に、友也は迷わず答えた。


「――ラッキースケベしてむっちゃくっちゃとなります!」

「うわぁ!」





 〜〜あとがき〜〜

 ジーナさん「お前が一番ひどい!」


 3/27に「いずれ最強に至る転生魔法使い」コミック3巻が発売となりました!

 何卒よろしくお願いいたします!

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