46「殴り込みです!」①
スノーデン城は、王宮というよりも要塞というイメージだ。
城壁をカタカナの「ロ」の形を内側、外側に重ねた堅牢のものだ。
三階建だが、広さはかなりある。
そんな王宮は、東西南北に一ヶ所ずつ出入り口がある。
「だ、誰だ、貴様は! ――ジーナ隊長!? タマラ!? なぜお前らがこんな」
城下町と接する南口の城門に辿り着いたサムたちを見た守衛四人が手にしていた槍を向ける。
ジーナたちのことを知っているようだ。
皮の鎧の表面は霜が張り、守衛たちの身体は震え、顔は真っ青だ。
それでも役目を果たそうとする姿勢は感心する。
「うるせえ!」
サムの感心をよそに、ウルは問答無用に守衛を殴り飛ばした。
ひとりが壁に激突して動かなくなる。
「き、貴様!」
三人の守衛がウルに槍を突き出すが、彼女が身体にうっすらと張る魔力障壁を貫くことができず、槍が砕けてしまう。
「ひいっ、化け物ぉ!」
「誰が化け物だ!」
守衛たちは槍の通じないウルに勝てないとわかったのか、すぐに逃げ出してしまった。
「……門番が逃げ出すとは、いや、ウルリーケ殿の実力を見れば理解はできるが」
ジーナが物理攻撃が効かないウルに、驚いていた。
タマラに至っては絶句して、口を開けて言葉もないようだ。
「ウルさんウルさん、やりすぎ」
「サム……国に喧嘩を売るんだ。容赦はいらないんだ」
「えー」
「というか、私と貴族の屋敷に殴り込んだことを思い出せ!」
「………………門番ぶっ飛ばすくらい軽い挨拶だよね!」
「そうだ!」
サムは、ウルとの修行時代の日々を鮮明に覚えている。
時には辛いこともあったので、記憶を封印していることもあるが、悪徳領主の屋敷に乗り込んでしばき倒したことは何度もある。
「俺が間違っていたよ、ウル」
「ふっ、お前は少し守りに入っていたようだが……いい目をしている。昔のように暴れようぜ!」
「ああ! いやぁ、異世界の勇者楽しみだなぁ! この国の宮廷魔法使いも、楽しませてくれるといいなぁ!」
「だよなぁ! さすがの私も城攻めは初めてだ! 楽しもうぜ!」
「ひゃっはぁー!」
サムとウルは肩を組んで、城の中にまるで観光でもするように入っていった。
■
「うわぁ、蛮族!」
「……なるほど。師弟が揃うとこうなるのだね」
友也とレプシーは、サムとウルのノリにちょっと引いていた。
〜〜あとがき〜〜
以前のサムを取り戻してきました!
まだビンビンではなかった、あの日のサムです!
27日に「いずれ最強に至る転生魔法使い」コミック3巻が発売となりました!
何卒よろしくお願いいたします!
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