3「魔王ヴィヴィアンの正体です」③
「えっと、どうするっすか、ヴィヴィアン様?」
「私たちもサムの後を追いましょう。できれば、事情を話したかったけど、妻子を攫われているふたりにこちらの都合を押し付けることはできないわ」
「そうっすよね」
「それに、こちらの事情を伝えても、伝えなくても、サムたちは戦うでしょう。女神さえ復活しなければ、それでいいの」
「でも、もしっすよ。復活したらどうするっすか?」
「命をかけて、戦うしかないでしょうね。そのためにずっと力を溜めてきたのだから」
ヴィヴィアン・クラクストンズは、人として命を落とし魔王となった。
その後、姉を倒すために力を、戦力を蓄えようとしたが、姉は死んだ。安心したヴィヴィアンだったが、姉は女神となってしまった。
その後、いくつかの戦いを経て、封印することは成功したが、殺せなかったのだ。
結界に封じることによって、緩やかな死に導こうといくつか対策を立ててはいたのだが、その結界も限界に近い。
「カルにも封印を任せてしまって苦労をかけるわね」
「今さらっすよ」
ヴィヴィアン以外は知らないことだが、カル・イーラは、女神の封印の巫女である。
本体は女神の封印の鍵として、女神と共にいる。
この場にいる、カル・イーラはあくまでも本体である巫女が力を分けた分体である。
魔王遠藤友也の部下だったのも、カルと同じ転移を持つ魔王であり、情報収集を得意としているからだ。
「まだフランベルジュが起きないから安心だけど、彼女が本格的に目を覚ましたら――女神の復活よ」
現在、寝てばかりいる魔王フランベルジュは、特殊な魔王だ。
ヴィヴィアンでさえ詳細は知らないが、協力者であり、対女神であることは知らされている。
彼女が完全に目を覚ますときは、女神の復活のとき。
フランベルジュが眠っている間は、まだ安心できるのだ。
「カルには感謝しているけど、申し訳ないと思っているの。サムのこと、好きなんでしょう。でも、私の手伝いをしてくれているから……ごめんなさい」
「それは言わない約束っすよ! 女神を封印する役目を選んだときから、普通の幸せなんてないと思っていたっす! でも、サムさんたちと出会って数ヶ月、めちゃくちゃ楽しかったっすから! それだけで、幸せっす!」
カルの笑顔に、ヴィヴィアンが泣きそうになった。
「あなたは強い子ね。――カルの幸せのためにも、私たちもすべきことをしましょう」
「了解っす!」
ヴィヴィアンとカルは、サムたちを追うように転移した。
〜〜あとがき〜〜
次回、アルフレッドと相対します!
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