71「???」②
「つーか、信者が探しているからって抵抗とかやめてもらっていいっすか? あんたに力のリソースを使っているんで、向こうの自分が眠くて眠くて。おかげでサムさんとのアバンチュールが送れないじゃないっすか! どうしてくれるっすか、ああん?」
十代半ばほどの黒髪の少女は、眼前に広がる結界と、その中に封じられる女性――女神を睨みつけて、迫力のない恫喝をしていた。
かつて、世界に降臨した女神は、ひとりの少女によって今も封じられ続けている。
その封印を解くことはもちろん、見つけることすら難しいだろう。実際、今まで、この封印に到達できた者は皆無だ。
「あんたの信者は自分が作ったダミーに引っかかりまくりっすよ! 数え切れないお馬鹿さんたちが、トラップに引っかかって絶望して死んでいったっす。ざまぁ!」
少女が小馬鹿にした態度と言葉を吐き捨てるも、女神は反応しない。いや、できない。
女神は、常に寝ている。時折、夢現の状態で、思考し、地上に干渉することもあるが、少女の封印のおかげでできることは極端に限られている。
また、考えも表面的には読むこともでき、ウルリーケ・シャイト・ウォーカーが死亡したことで器を探し、サミュエル・シャイトを見つけるも、器として乗っ取ることを断念したことはわかっていた。
女神は基本的に人間しか器にできない。元人間ということでサムに目をつけたが、サムが急速に力を手に入れてしまったため、その可能性も潰えた。
入れ替わるように、狂信者が女神の封印を探していて、一時だが近いところまできた。その際、女神が全力で抵抗したのだ。
しかし、女神といえ、信仰と力をほぼ失い、女神の存在を忘れている者、知らない者までいる。おかげで、少女の力だけで押し込めることができた。その代償は、大きかったが、使命のためなので我慢できた。
「そもそもあんたがどれだけ封印を解こうと躍起になったとしても、解けねえものは解けねえんですって。聖女が四人いなけりゃ、封印を解くどころか、封印の地まで辿り着けねーっすかr。わかりましたかー? ぷぎゃー! 一生寝てろ!」
罵詈雑言を重ねる少女は、ひとりで怒鳴っていても虚しいだけだと悟り、怒りを鎮めた。
代わりに、ひとりの少年のことを思い浮かべる。
「あーあー。今頃、サムさんとイチャラブだったはずっすのに。二十四時間働きっぱなしは辛いっすねぇ。ったく、美少女っていつも不幸っす」
女神の巫女であり、封印を守護者でもある少女――カル・イーラの本体は、女神の結界を頑丈に張り直し、早く少年の元に戻りたかった。
彼といると退屈しない。
長い時間、暇を持て余していた少女にとって、サムは実に面白い。
「美少女カルちゃんとイチャラブできなくてサムさんもさぞ残念っすね。まあ、それもすべてクソ女神が悪いってことで」
〜〜あとがき〜〜
今回のお話に関してはノーコメントですわ!
新作始めておりますので、よろしくお願い致します!
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