第三十九話 人よ、悪魔のいる世界を見よ

 Side:守郎勝命


 扉の向こう側で、悪魔と共に異界に留まる人に何度も振り返っては先生に怒られる。死んでしまうというのに、ここまで生き残ったのに、自らの死を受け入れて僕らを逃して笑う人。


 神を宿す僕らが、何故……人間の一人も救えないんだ。


『ボサッとするな、勝命!! 異界を出れば外は戦場がそこかしこに広がってんだ、気を引き締めろ!』


『でもっ、でも先生っ……!』


 優しくても良いのだと、認めてくれたのだ。あんなに強くて優しい人を知らない、あんな人を失って良いのだろうか?


『……っ、救える手立てはねぇ。むしろこっちが救われてるんだ。生きてこの神典を出られるだけでも奇跡に近いんだ


 諦めてくれ、すまねぇっ……』


 先輩たちを乗せた、悪魔ベリアルにより貸し与えられたチャリオットと共に光に満ちた通路を走り続ける。背後からのエメラルドグリーンが更に光り輝いたところで、僕らは遂に出口へと辿り着いてそこから脱出した。


 そこは、神典であった罪区特殊異界学校としての結界を破られ元の学び舎としての姿を取り戻した……とは言えない、場所だった。僕たちがいたのは体育館だったが、そこには溢れる死体がそこかしこにある。話にあった通りなら、ここで全てが始まった……床に現れた穴とやらは恐らく神典の力の窓口のようなものだったのだろう。穴に落ちた者は神典の力……つまりモレク神の業火に堕とされたのだ。


 人間の焼かれた死臭が酷く、思わず顔ごと覆い隠してしまった。


『……なんと、惨い……、外から異界に入った時には何もわからなかった……』


『異界が消滅したから、生贄にされた人間も返って来たんだ……遺体があるだけマシだが、これじゃ判別もつかねぇ……』


 死体の山で途方に暮れながらも、僕たちにはまだやらなければならないことがある。体育館に生き残った尊さんたちを寝かせて、先輩たちを背負って外へ出る。


『火黒先生!!


 ギリシャ神チーム!! お前ら、無事だったん!?』


 まだ薄暗い空の下を歩き、新鮮な空気を数時間ぶりに味わっていれば校門の向こうから二人の人物がこちらへ走って来た。


 その人たちを見て、思わず止まってきた涙がまた溢れ出してしまう。


『東骨先輩っ……!! 水喰先生ぃ!!』


 制服の上着を腰に巻き、両手首にジャラジャラと骨の玉を連ねたアクセサリーをした三年生 東骨とうこつ大強たいし先輩。深い緑の長髪をポニーテールにした、吊り目の強面は水喰みずばみゆう先生だ。


 わんわん泣きながら駆け寄ってきた東骨先輩に頭を撫でられ、報告を始める先生たちを眺めていた。


『第十位級の神典が崩壊したから急いで様子見に来てみれば……お前は何をそんなにギャン泣きしてるん。まあ、いつもギャンギャン泣いてるな……。


 あら? ……え? ちょ、そいつら行方不明者なんだがな!? なんでこんなとこにっ』 


『やはり、あれから外からは入れないほど神典が強まっていたのか。


 先輩方は罪区特殊異界学校に囚われていた。直ちに治療をしなくては』


 微ちゃんの言葉に頷いた東骨先輩は、すぐに全学校の関係者を呼んで先輩方を運ばせた。


 いつまでも報告がない僕らギリシャ神チームに痺れを切らした城からの命令で待機していた水喰先生と東骨先輩が共に応援に来たらしい。しかし、そこには当初よりも更に強力な神典があり侵入も叶わず一旦帰ろうとした。


 だが。


『終末特報が出されてな……、つまり世界に危機を来たすと認められた大災害、それが各地で発生したん。


 今、世界中が大混乱してるん。突如として有り得ないほどの神典や同レベルの獣が起こす獣檻じゅうかんが発生中。当初よりも遥かに数が増えすぎて城も大混乱。完全に手が回らない状況だな』

 

『君らと共にここら一帯の対処を任されていたが、その中心たるこの神典が崩壊したのでこうして駆け付けた次第だ』


 やっぱり、何者かによって……脅威は放たれていた。


 僕らは手短に二人に今までの事の次第を説明し、ここに至るまでの奇跡を語った。十人の生き残った生徒たちと協力し、一人の少女によって逃された顛末。


 話し終えた後で驚愕を浮かべる二人。無理もない、ただの人間が悪魔を使役して第十位級という最高レベルの神典を破ったのだから。


『マジか……。一般人が、そんなこと出来るん……? いやでも、確かにそれくらいの大それた力でもない限りこんな神典破れる筈もない、な……』


『……ソロモンの鍵と器、か。なるほど……興味深い話だ。


 だがな。いつまでも生還を喜ぶ時間はない。世界の危機は続いている……既に生徒や教師、関係者も出尽くしている状況だ。どこまで耐えられるかは不明だが……今は、やるしかない』


 終わりの見えない戦争が始まっている。勝てる筈もないのは、わかっている……しかし僕たちは抗わなくてはならないんだ。神として、力ある者として。


 グッと拳に力を込めて、踏み出そうとしたその時だ。



【ボクのチャリオットを借りておいて、礼も言わずに去ろうだなんて良いご身分だね


 人間共】


 

 コツリ、コツリとヒールを鳴らし、立ち止まって黒いナポレオンコートから出した青く光る両腕の刺青。青い炎を纏うその悪魔は、平然と下界の地を踏みながら立っていた。


 な、なんで、……悪魔……ベリアル!?


 慌ててベリアルから距離を取る東骨先輩と、僕らを守るようにその身を間に押し込む水喰先生。一瞬でその実力を理解してか、冷や汗を浮かべる先生に気を良くしたのかベリアルは薄ら笑いを浮かべた。


【既に神や獣にズタズタにされた身で、よくもボクの前に推し出たものだよ。自己紹介でもしてあげようか?


 ボクはベリアル。ただのしがない悪魔のベリアルさ】


 最悪だ、最悪だ……!!


 まさか、たゆたさんにソロモンの指輪から解放されたからコイツらまで世界を荒らすつもりなのか!?


【荒らすって意味じゃ、間違ってないかもね】


『ひっ!?』


 心読まれてるじゃん!?


 まさに世界の終末まで待ったなし。完全に終わった……。この状況で更に悪魔たちまで世界に放たれたんじゃ、もう……。


【勝手に勘違いするのは良いけど。そこ、退いてくれる】


 刹那。


 両腕を組んだベリアルが目を閉じると、足元から青い魔法陣が展開される。バタバタとコートが魔力の余波を受けて揺れて、足元からまるで花火のように高らかに青い炎の塊が空に放たれると、ピタリと止まる。目を開いたベリアルの仕草を合図に、それは幾つもの方向に分散されて地に降り立った。まるで隕石の様に様々な場所に落ちるそれを、ベリアルは楽しげに見つめる。


 暫くして、その耳に無線を付けていた水喰先生の驚愕の事実が告げられた。


『どういうことだ……、この地域一体に蔓延っていたビーストやそれを操っていた組織の神器や獣器が消滅した……、


 空から落ちて来た、青き炎に……』


 コツリ、コツリと……またヒールを鳴らしてベリアルは背を向けて歩き出した。その側には数体の悪魔があり……気付けば、空にはあらゆる悪魔が様々な方向に向けて進軍を開始していた。ここに神器と獣器がいるにも関わらず、一切目もくれずに……。


【バティンを呼んで。ボクは強い奴を下しに行くから、雑魚は適当にどうにかしておいて】


【あ、はーい。


 ……あーあ、テレポート能力あるバティン君、きっと馬車馬の如く使われるんだろうなー……カワイソー】


 パタパタとベリアルの隣を飛ぶ鳩にも、見覚えがある。全くもって理解出来ない行動に声を上げたのは、火黒先生だった。


『どうなってやがる、何故テメェら悪魔がこっちに味方するんだよ……』


 ピタリと立ち止まったベリアルが、紫の髪を揺らしながら端正な顔を無にしたままこちらを振り向く。


 わらわらと集まる悪魔たちが、どこか遠くを見つめながら語る。


【不細工な顔が見れたから】


 ……ん?


【情けなくて、可愛くない、ブッサイクで笑える顔を見せてもらったからその対価に


 世界、荒らしてあげるんだよ。荒らしてる奴を、更に荒らす祭りさ】


 不機嫌そうに、荒んだ声で呟くにはやけに寂しそうな顔で悪魔は空を仰いだ。


【一度きりさ、ボクが力を貸すのはこれっきり。結果的にそれがお前たち人間を救うようなどうでもいい結果になろうが構わない。


 どうしようもなく不遇で、滑稽な王の最後をこれ以上笑いたくない……笑わせないための、戦いだ】


 青い瞳が、揺れる。


 ベリアルはそれっきりもう何も語らずに歩き始めた。


【我らが最後の王が、願われた。この世界を憂う顔を晴らすために我ら七十二の悪魔とそれらが引き連れる軍勢が、お相手して参りますので。


 何の何の。たかが神や獣の数百体程度、この軍勢の前では塵芥。


 では。我が王の同盟者たちよ、さらばだ】


 失った右腕をそのままに、大刀を担いだモラクスが巨体を揺らしながら歩き出す。他の悪魔たちもそれぞれの配置があるのか次々と学校から出ては、迷いなく世界を歩み出した。


 世界に、悪魔が放たれた。


 しかし、太古より邪悪とされた悪魔たちが徒党を組んで世界を荒らす者たちを更に倒していったのだ。決して人間を守るような同調といった動きは皆無だったが、少なくとも見捨てるようなことはしなかったと。混乱する僕ら国立第三柱器学園全学校側の人間を置いてけぼりに、彼らの奮闘により日本の混乱は徐々に落ち着いた頃。


 最後の神典を破り、封鎖された道路で疲労した体を投げ出して休んでいた時に僕は見たのだ。廃ビルらしき建物の屋上から上がる喧騒に、戦いの気配。


 まだ、残っている組織の戦力があるの……?


 全学校の先輩たちと火黒先生とで建物の屋上に上がり、見た光景に……思わず言葉を失った。全身、肌の色まで黒で塗り潰された男が屋上からゆるりと身を投げたのだ。一瞬しか見ていなかったけど……その男の、何も映さない虚で黒に覆われた不気味な瞳が脳裏にこびり付いて離れない。鳥肌が立ち、未知数の……敵であろう人物に対して全身が警戒音を立てているようだった。


【……なんで逃げるのさ。意味わかんない、卑怯者……ワタシの王を奪ったくせに……ウザい。最低。呪う】


【ちょっとバラムー。おーさまは、オレたちの、おーさまでしょー?


 まぁもういないんだけどね。親玉は逃しちゃったけど、これで心配性のおーさまもゆっくり眠れるかなー】


 屋上の中心には、二体の悪魔がいた。緩い口調の少年は知ってる……あれはあの、七つの大罪に数えられた色欲のアスモデウス。そのアスモデウスと共にいる大きな杖を担いだフードを被った悪魔は、見知らぬ悪魔だ。ぶつぶつと小さな声で何かを呟きながら爪を噛む悪魔は、やがてこちらへ目を移す。


【……ああ。王と、共にいた人間の一人……つまり、


 殺しては、怒られる対象……】


 残念、と呟いて杖を消した悪魔は靴の先から透明になって……消えてしまった。残されたアスモデウスの元に、あの見慣れた鳩が降り立った。


【アスモデウス様ー。


 お疲れ様です、全世界のお掃除完了でーす。親玉の気配も探知系の者が追ってますが望み薄、だそうです】


【折角用意した戦力、軒並み潰してあげたもんねー。暫くは動かないんじゃない? あーあ、大したことなかったけど……おーさまと一緒だったらもう少し楽しい散歩になったんだろうな】


 フリルがふんだんにあしらわれた服で、可愛らしく笑う姿からは未だに信じられない。僕たちが掃討不可能だと、そう判断せざるを得なかった反組織勢力の総兵力、約五千にも及ぶ軍勢を……この悪魔たちは、たった一週間で全て潰して来たんだ。


 勿論、その中には神典をも起こす神器もいたし何箇所か第十位級レベルのものもあった。ビーストによって滅ぼされた街や、壊滅的な被害を受けた国もある。


 それらの大半を処理したのは、たゆたさんの召喚した元ソロモン72柱の悪魔たちだった。迅速にして、手慣れた様子だったといくつもの報告が上がり、その快進撃によって世界は傾きから脱したと言って間違いない。


【帰ろっかー。死んだ奴がいたら揶揄ってやろっと。え? 本当に死んだ奴とかいるのー? あはは、バカじゃーん】


【……そんな無傷でピンピンしてんの、アスモデウス様やベリアル様……アスタロト様辺りくらいなんですが……】


 モラクス様の猛進撃聞きました? なんて話しながら去ろうとする悪魔たちに駆け寄り、僕は声を上げる。


『あのっ……、あの!!』


 足を止めて、こちらを振り返ることはしてくれたものの彼らに表情はない。かつて王と呼ぶ人間と楽しげに背を並べていた時とは違う、冷たい空気。


 耐えろ勝命っ……、耐えろっ!


『申し訳ありません、礼など不用だと……仰るだろうと思うので。一つだけ、お聞かせ下さい』


【なぁに。王のかつての同盟者】


『……あなたたちの、王は……どう、なりましたか……』


 登る朝日を浴びながら、あの日を思い出す。一週間前のあの時も、今にも陽を浴びそうなそんな良い日だった。


 何人もの人間を亡くし、更に人々の苦しみの一週間を迎えるには不遇の朝。



【死んだよ。


 あの日の朝に、朝を迎えてすぐに。もう一週間かー……早いもんだね】 




 世界を脅かす大戦が、早朝……幕を閉じた。とは言っても、僕たちは殆ど後手に回るばかりで目の前の脅威をとにかく払うくらいのことしか出来なかった。


 世間にはテロ組織による大規模な犯行、という世紀の大事件として連日報道されていて早朝に大戦が終わったために犯人たちも逮捕されたと報道が走っている。ありのままを話したところで、理解されるはずもない……この事件の裏で起きたことなど知らず、世界は再び安寧の時を取り戻したのだ。


『そう落ち込むな……世界が滅んでも可笑しくなかったんだ。お前らはよくやった』


 あれから僕らは重たい体を引き摺り、近くのファーストフード店に入って朝食には少し遅い食事をしていた。


 だけど、食欲なんて全く湧かない……両手で握りしめた飲み物に口をつけないまま、椅子に座って外を眺めている。大して被害のない場所は、人々が行き交い何ら変わらない日常を過ごすところもあったから事件に殆ど関わらない人間も多かっただろう。


 そうやってただ、外を眺めていた時。見慣れた人たちを見つけた僕は、飛び上がるように立ち上がって店の外へ駆け出していた。


『事件、終わったんだな。まだ実感……持てないけど、犯人も捕まったんなら良かった……よな。


 なんだろう……胸が、すげーモヤモヤするんだよ』


『そんなこと言っても、俺たちには何も出来ないでしょ。


 飴でも舐める?』



 忘れたくても、忘れられない。


 少し痩せたような気もする二人は、尊さんと新食さんだった。もう記憶を失った二人には何も話しかけられない……僕は坂道の前で話し合う二人にバレないように近くのバス停でその様子を見ていた。


『献花、始まってるんでしょ。学校内にはまだ入れないけどグラウンドの献花台はずっと解放されてる……それに行きたいっていうから、わざわざ病院抜け出すの手伝ったんだけど? 卒業式後のパーティーに予約してた店にもドタキャンしたから謝りに行くんでしょー』


『……だって、実感が、ないから。なんで俺たちだけ……いや。これは言ったらダメだよな』


 そうですよ、あなたたちは……生きなくちゃ、ダメな人たちなんです。


『もう少し、整理がついてから行くよ……みんなをいつまでも待たせるのは、悪いことだけどさ』


 あの時、共に戦った彼らが生きて……そこにいるだけで嬉しくて仕方ない。たった一人の人間の願いの始まりを作った、世界の大恩人であるその人たち。


 どうやら学校の献花台に花を添えに来たらしいが、日を改めるようだ。


 再び病院に戻ろうとした二人だったが、ふと何かを思い出したように尊さんが立ち止まりポケットの中を探っている。


『忘れるところだった! 専也に公開予定の映画のチケット、代わりに買ってくるって約束してたんだ。


 ちゃんとピッタリ金額入ってるって……、あれ、?


 ちが、う……違う、九人? ちがう……数が、合わない』


 頭を抱え、自分自身の言葉に混乱する尊さんを新食さんが慌てて背中を摩ったり声を掛けたりして呼吸を整えさせる。これが初めてではないのか、それを宥める様子は手慣れていて新食さんもまたか、と言わんばかりの表情だった。


 やがて落ち着いた尊さんがお礼を言ってから謝罪し、歩き始めた時だ。


『すみません。道を尋ねたいのですが、宜しいでしょうか?』


 赤い短髪に、サングラスを掛けた長身の男。かつての服装とは異なり、シンプルな黒のスーツに両手に抱えた小さな鉢を持ったその男を見た瞬間、叫び出しそうになったのをいつの間にか来ていた麗と微ちゃんに止められた。


『突然申し訳ない。羽ヶ者学園高等学校の献花に訪れたのですが、道に迷ってしまいまして。学校の場所をご存知ないでしょうか?』

 

 記憶のない二人は、自分たちの学校の場所を快く教えてから男の持つ花へと目を移した。


『鉢、ですか? 珍しいですね……可愛い花だ』


『シクラメンと言う花です。献花には相応しくないかと思ったのですが……亡くなった私の兄弟は、これが似合う人で。


 これの花飾りを大切に持っていたので、向こうでもこの花を愛でられるようにと』


 では、と言って坂道を登り始める悪魔……ライムと思わしき人物は、悲しげに眉を顰める尊さんに、ふと振り返って……いつの間にか彼との距離を詰めてその胸元に何かを差し込んでからまた、笑みを浮かべて会釈した。


『伝え忘れていたことがありました。


 ご卒業、おめでとうございます。ああ、それと。卒業式後のパーティーに用意されていたプレゼント、店から引き取って兄弟にお渡ししました。


 大変喜んでから亡くなりましたよ。最高の誕生日プレゼントだと、言い残していたので。


 では。さようなら』


 尊さんの胸ポケットに差し込まれたそれは、間違いなくたゆたさんが髪飾りとして持っていたものだった。


 ただ違うのは、赤に染まったはずの花が白になり……まるで何もなかったように、そこにある。


『まっ、て……


 待ってくれっ!! これは、この花はっ……!!』


 そこには、もう誰もいなかった。


 可愛らしいシクラメンの鉢植えを持っていたはずの男はいなくなり、辺りには黒い羽根が何枚も空から降ってくるだけ。


 戦いの明けた空を、黒い羽根が揺蕩う。



『は、ね……が、降って……』



『わ、こう』










『わ、こう……たゆ、た……?』




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