第2話:死生問答
「カーミラ、ラノベやアニメに出てくるヴァンパイアハンターやヴァンパイアキラー、クルースニクのような存在はいるのか。
カーミラを殺そうとする存在がこの世界にはいるのか」
「おるぞ、地球が寄生虫の人類を滅ぼそうとして生み出した、わらわのような吸血鬼を殺そうとする存在は、何時の時代にもどの国にもおる」
カーミラの感情も込めずに淡々と話す態度が、生への執着を全く感じさせない。
明らかに死にたがっているのが分かって哀しくなる。
それに、今の話にはとんでもない事実があった。
カーミラが、いや、吸血鬼が地球の意思で生み出された事。
しかも人類が地球の寄生虫で、地球から忌み嫌われているという事。
「なあ、カーミラ、人類は地球の敵なのか」
「さあのう、少なくとも地球はそう思っているようだの」
「だったらなんでもっと沢山吸血鬼を生み出して人類を滅ぼさないんだ」
「さてのう、それは地球に聞いてみなければわからんが、会話ができる相手ではないからのう、分からんな。
ただわらわが生み出された時には、人類を滅ぼしてくれという願いがこもっておったから、わらわも頑張ったが、人類はしぶとくて手強いからのう、もう疲れたわ」
カーミラの話では、最初は人類を抹殺すべく活発に動いていたような言い方だ。
だが人類を滅ぼすことができず、厭世気分になってしまったのだな。
だがラノベやアニメの世界では、感染で吸血鬼になった者ではない、神祖や真祖といった存在の吸血鬼は、圧倒的な力を持っていたはずだ。
そう簡単に人類が勝てる相手ではないはずだから、混血のダンピールが相手なのかもしれないし、人類に味方する神という存在がいるのかもしれない。
その点も確かめたいが、それよりも先に確かめる事がある。
「なあカーミラ、カーミラは真祖や神祖といった存在なのか」
「そうじゃ、わらわは地球が誕生させたから、神祖だ。
人類が魔術で永遠の命を手に入れようとして吸血鬼になったのが、真祖じゃ。
その中には人類に絶望して吸血鬼になった者もおる」
なるほど、ラノベやアニメの世界は全く嘘というわけでもないのだな。
だったら神祖は精霊のような存在で、滅ぼすことができない設定は正しいのか。
誰にも滅ぼすことができないのなら、カーミラが死ぬ心配をしなくてすむ。
カーミラが死んでしまうかもしれないと思っただけで、心臓を氷の手で鷲掴みされているような恐怖と痛みを感じてしまうのだ。
「なあカーミラ、カーミラが神祖なら滅ばない永遠存在なのではないか」
「確かにわらわは永遠の存在なのかもしれぬ。
死を望んで聖なる杭を心臓に受けたはずなのに、いつの間にか生き返っておった。
だが著しく力を失っていたのも確かじゃ。
このまま吸血せずに、何度も心臓に聖杭を打ち込ませたら、滅ぶことができるかもしれないのじゃ」
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