6》◆証明~指示とトウマの世界について~◆

 ここはクリスティスの城内にある特殊工作部隊の部屋。この部屋の奥には隊長室がある。


 その隊長室ではエルヴが窓のそばに立っていて外を眺めていた。


(フッ、セルジオ……今度こそ、お前を……)


 そう思いどこか遠くをみつめている。



 ◆§◇§◆§◇



 ここは王の書斎だ。ここには現在、国王デルシェとセルジオがいる。


 デルシェは椅子に座り机上に両手を乗せ眼前に居るセルジオを見据えていた。


「アルベルト様からの書簡です」


 そう言いセルジオはデルシェに書簡を渡す。


 書簡を受け取るとデルシェは目を通した。


「なるほど……これを読む限り、トウマは本物のようだな。だが、これだけでは皆を納得させられぬ」


「はい、私もそう思います。やはり力を示す必要があるかと」


「うむ、予定通りに行うしかあるまい」


 そう言いデルシェはセルジオを見据える。


「では手配の方は如何いたしましょう?」


 そう問われデルシェは指示を出した。


 それを聞きセルジオは自分のやるべきことをするため書斎を出て銃士隊の部屋へと向かう。


 それを確認するとデルシェは再びアルベルトの書簡を読み始める。


(アルベルト……お前が不憫だ。両親と兄を失い、肉親は姉と妹のみ。それだけではない自分は命を狙われておるのだからな……)


 そう思い書簡を仕舞った。


(さて、オルタニスと隊長たちにも指示をださねばな)


 紙を机上に乗せるとペンを取り書き始める。


 人数分を書き上げると従者を呼び指示書を渡した。


 それを受け取ると従者は部屋を出てオルタニスと隊長たちの所へ向かう。


 その後デルシェは机上に置かれている束の書類を一枚一枚確認し始めた。




 ――場所は宿屋のレックスの部屋に移る――



 あれからトウマとマリエスとレックスとウッピィは色々話をしていた。


「これからどうするんだ?」


「レックス……確かにそうだよな。んー町をみて歩きたいけど連絡がくるまでは、ここを動けない」


「そうね……だけど何もしないでいるのも退屈だわ」


 そうマリエスが言うとトウマとレックスは頷く。


「何か遊ぶものがあればいいのにな」


「ああ……そうだな。流石に、ここにはない」


 そう言いレックスは、退屈そうな顔をしている。


「そういえば、トウマの世界のことを知りたいわ」


「おお、そうだな。トウマ、お前の世界ってどんな感じなんだ?」


「どんな、か……この世界とは全く違う。似ているような風景はあるけど……。オレの住んでた所ってビルって云う建物が沢山あって自然は少なかった」


 それを聞きマリエスとレックスは首を傾げる。


「ビルってなんだ?」


「あーそうか! この世界にないもんな。なんて説明すればいいかなぁ……高い塔のような建物って云えばわかるか?」


「塔のような建物が沢山……そこで何をするのです?」


 そうマリエスに聞かれトウマは説明した。


「仕事とかする場所か……とんでもない世界だな。俺なら絶対、そんな所で仕事なんかしたくない」


「そうね。私も高い場所で仕事は無理かも……」


 そう言いレックスとマリエスは苦笑する。


 そして、その後もトウマ達は話をしていたのだった。

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