3》◆証明~思考とミス~◆
ここはクリスティスの城の王の書斎。
あれからデルシェは椅子に座り机上に両肘をつき頭を抱え考えごとをしていた。
(……なぜアルベルトは今頃、紫の勇者を……。確かに書簡に書かれていたことには納得できる。だが、それなら……なぜ連絡をよこさなかったのだ。
オルタニスの言う通り……偽物なのか? しかし……アルベルトが嘘を言うとも思えない。……それなら、セルジオを呼ぶか)
そう考えデルシェは部屋にいる従者にセルジオを読んでくるように指示をだす。
それを聞き従者は、この部屋を出てセルジオが居る銃士隊の部屋に向かった。
それを確認するとデルシェは再び頭を抱え考える。
◆§◇§◆§◇
ここは銃士隊の部屋の奥にある隊長室だ。
あれからデルシェの指示で従者がここに来てセルジオに伝言をつたえた。
それを聞きセルジオは、すぐに向かうという。
そう言われ従者は王の書斎へ戻っていった。
それを確認するとセルジオは隊長室から出て部下に言い王の書斎へ向かう。
そして現在、セルジオは通路を歩きながら考えている。
(直接城にくるとはな。アルベルト様の連絡では俺の屋敷に立ち寄ると書いてあった。……どうなっている?)
そう思考を巡らせセルジオは歩いていた。
◆§◇§◆§◇
ここは大臣の書斎。
オルタニスはあれからここにくるなり机上の書類などの整理をする。
その後トウマ達がくるのをソファに座り待っていた。
そして現在、オルタニスは考えごとをしている。
(紫の勇者がきた。本物なのか? そうだとしたら……証があるだろう。その証が証拠になる……どうにか阻止せねば)
そう考えオルタニスは苦虫を潰したような顔になっていた。
◆§◇§◆§◇
場所は王の書斎に戻る。
現在ここには、デルシェが椅子に座り机上に手を置いて目の前に居るセルジオと話をしていた。
「こちらに直接来たのですね」
「そうらしい。その様子では知っていたようだな」
「はい、数日前に書簡が届きましたので」
そう言いセルジオは真剣な表情でデルシェをみる。
「そうか……そこには、なんと書かれていたのだ?」
「私の屋敷にこさせると書かれていたのですが」
「……と、云うと……今訪れている者は偽物なのか?」
それを聞きセルジオは首を傾げた。
「分かりません。ですが、アルベルト様の書簡を持っていたのですよね?」
「ああ、先程オルタニスとみた」
「オルタニス様と……それでその書簡は、どうされたのですか?」
そう言いセルジオは机上を見回す。
「オルタニスが持っていったが、何か気になることでもあるのか?」
「いえ、あると云うか……。ですが、なんのために持っていったのでしょう」
「紫の勇者が本物か確認するためだろう」
それを聞きセルジオは不思議に思った。
「確認のために……そんなことのために必要なのでしょうか」
「どういう事だ? まさか他に目的があるというのではないだろうな」
「その可能性はあります。……下手をすれば、なかった物になる可能性も」
そう言いセルジオは机上の一点をみつめる。
「そうか……しくじったか」
「仕方ありません。そうなると……オルタニス様が紫の勇者の対応をしておられるのですね」
「ああ、もし本物であれば……まずいな」
デルシェはそう言い頭を抱えた。
「どうにか……その書簡を取り返すことができれば良いのですが」
「そうだな……これしかないか。セルジオ……お前が立ち会えばいいだろう」
「なるほど……それならば」
そう言いセルジオは、ニヤリと笑みを浮かべる。
そしてセルジオは、その後デルシェに手紙を書いてもらい大臣の書斎に向かった。
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