2》◆証明~疑心~◆

 ――……翌日。



 ここはクリスティスの城の門前。門の前には警備の兵士が二人居て両脇に立っている。


 その近くにはトウマとマリエスとレックスがいた。



 あれからトウマは翌朝になり仕度をすませる。そしてウッピィを肩に乗せると二階のロビーで、マリエスとレックスがくるのを待った。


 その後、二人がくると城へ向かう。




 現在トウマは門番にアルベルトから預かった書簡をみせたあと、ここで待つように言われたため待機していた。


 その後ろではマリエスとレックスが、ワクワクしながら城を眺めている。


「トウマ、いよいよですわね。ああ……昔に読んだ冒険小説を思い出しますわ」


「冒険小説……そんなのがこの世界にあるのか?」


「ああ、確か異世界から持ち込まれた本だったよな。それを複製したんだっけ?」


 それを聞きトウマは読みたくなった。


「複製されたってことは沢山ある……どこで読めるんだ?」


「屋敷にはありましたけど……他は、どこにあるかしら?」


「書物屋にあるんじゃないのか」


 そう言いレックスはトウマに視線を向ける。


「そうか……あとで、探してみよう」


 そう言いトウマは、ニカッと笑った。


 それをみたレックスは、ドキッと鼓動が鳴りトウマから視線を逸らす。


(やっぱり……俺は、おかしいのかもしれない。なんでトウマをみると……)


 そう思い胸を押さえ俯いている。


 そしてその後も、トウマ達は警備兵が戻るまで待っていた。



 ◆§◇§◆§◇



 ここは国王の書斎である。そして、ここには国王デルシェと大臣オルタニスと警備兵がいた。


 警備兵はオルタニスに、アルベルトの書簡を渡すと一歩さがる。そして、そのままの体勢で待機した。


 書簡を受け取ったオルタニスは、デルシェに確認をしたあと開けて内容を読んだ。その後、デルシェにみせる。


「……紫の勇者。本物なのか?」


「どうでしょうか……ですが、なぜ今頃。この書簡には召喚した時は十二歳だったために、すぐ王都に向かわせられなかったと記載されております」


「うむ、それなら……なぜ連絡をよこさなかった?」


 そう言いデルシェは考え込んだ。


「確かに、そうですね。これは推測ですが、召喚を失敗して代用を探していた可能性もあります」


「そうだな。宝石の勇者には証があるはずだ」


「おお、そういえばそうでした。それでは、その証を確認した方がよろしいですね」


 そうオルタニスが言うとデルシェは頷いた。


「そういう事だ。そのトウマとかいう者の確認をせよ」


「承知いたしました。では別室にて行って来たいと思います」


 そうオルタニスは言うと警備兵に、トウマを自分の書斎へ通せと指示をだす。


「承知しました。ですが、連れの者が二人おります」


「そうか……まあ問題ないだろう。その者たちも一緒で構わん」


 それを聞き警備兵は、一礼をしこの部屋から出ていった。


 それを確認するとオルタニスは、デルシェに一礼をする。その後、書簡を持ち自分の書斎へと向かった。


 そしてデルシェはオルタニスが部屋を出たのを確認すると、しばらく頭を抱え考えていたのだった。

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