27》♠︎運命の出逢い♠︎

 ――……数時間後。



 ここは王都クリスティスの城下町だ。流石に王都と云われるだけあり、人通りも多く賑わっている。


 あれからトウマ達は数時間かけてここに辿り着いた。



 そして現在トウマとウッピィとマリエスとレックスは、宿屋を探しながら町の中をみて歩いている。


「大きな町だな」


「そうね。何度来ても、この町は凄いです」


「ああ……俺も何度か来てるが、人の多さに驚く」


 そう言いながら三人は、街路を歩いていた。


 すると誰かがトウマに勢いよくぶつかる。


「イタッ……」


 そう言いトウマは、よろけ地面に尻餅をついた。


 ぶつかった者は、そのまま走り去る。


 そこに紫色の髪の男が現れて、トウマへ手を差し伸べた。それはセルジオである。……そうここでトウマは、運命の出逢いをした。


「大丈夫ですか?」


「ああ……大丈夫、ありがとうございます」


 差し伸べられた手をとりトウマは立ち上がる。


「それはよかった。それでは、急ぎますので」


 そう言いセルジオは、トウマにぶつかった男を追い駆けだした。


 顔を赤らめトウマは、みえなくなるまでセルジオをみている。


「トウマ、大丈夫ですか?」


「おい、頭でも打ったのか?」


「あ、マリエスにレックス。ううん……大丈夫。ただカッコいいなぁって、みていただけだ」


 そうトウマが言うとマリエスとレックスは、驚き一歩後ろに下がった。


「まさか……男が好きって訳じゃありませんよね?」


「ん? ああ……それはない。ただあんな風になれたらって思ってさ」


 そう言いトウマは誤魔化す。そうトウマは、一目惚れをしていたのだ。


「そ、そうだよな。確かに、俺もカッコいいと思った。あっ! そういえば……さっきの人の制服って、銃士隊のじゃないのか?」


「銃士隊? なるほど……誰かを追ってたみたいだから、仕事中だったのか」


「そうかもしれないわね。それよりも、早く宿を探しましょう」


 そう言われトウマとレックスは、コクッと頷いた。


 その後トウマ達は、再び歩き始める。



 ◆§◇§◆§◇



 ここは商店街の路地裏。辺りに居るのは、セルジオだけだ。


 そう、あれからセルジオは逃げた男を追ってここまでくる。


「クソッ……逃げられた。やっとセルヴの尻尾をつかめると思ったのに……」


 セルジオはそう言うと、ドンッと壁を叩き一点をみつめた。


(……アルベルト様の悪い噂を早く消さなくては……。でもなぜ……ここまでする? アルベルト様が何をしたというのだ。

 いや……ルディ家と云った方がいいのか。誰がアルベルト様の家族を……それすら、まだ分かっていない。

 そういえば……まだ宝石の勇者は、到着しないのか? アルベルト様からの連絡では、既に旅立ったという事だが)


 そう思いセルジオは、商店街の表通りの方へ向きを変える。


「そろそろ……着くかもしれない。一旦、屋敷に戻りますか」


 そう言いセルジオは、自分の屋敷へと向かったのだった。

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