25》♠︎婚約~お披露目とダンスと各々の思い~♠︎

 ここはパーティー会場。


 あれからラガは、マリエスにトウマが宝石の勇者だという事を話した。


 それを聞いたマリエスは、なるほどと納得する。


 その様子をみたトウマは、複雑な思いになっていた。


 その後ラガは、トウマのことをみんなに紹介する。



 そして現在トウマは、マリエスと話しながら食事をしていた。


 するとダンスの演奏が流れてくる。


「トウマ、踊りましょう」


「あ、うん……」


 そう言いトウマは、出されたマリエスの手をとった。


 そしてトウマとマリエスは、演奏に合わせ華麗なステップで踊る。そうトウマは三年間ある程度、必要なことを覚えさせられていたのだ。


「凄いですわ。強いだけではなく、ダンスも上手なんて」


 そう言いながらマリエスは、ウットリとトウマをみていた。


「そうかな……ありがとう」


 ニコリと笑っているもトウマは、心の中で複雑な気持ちになっている。



 ◆§◇§◆§◇



 その頃レックスは、パーティー会場の隅でトウマとマリエスをみていた。


(……戦った時に感じた、あの違和感はなんだ? 腕を掴んだ時に一瞬だが、女みたいだと思った。そのあと……なぜか、胸を触ろうと……。

 ていうか……なんで今、俺はマリエスじゃなくてトウマのことをみている? あーなんなんだ! この違和感は、よっ! 訳が分からなすぎんだろうがっ)


 そう思いレックスは、手に持っている飲み物を一気にのみほす。そしてその後も、トウマをみながら思考を巡らせた。




 ――場所は移り、アルベルトの屋敷――


 暖炉の前のソファに座りアルベルトは、ティーカップの中の温かいお茶を口に含んだ。その後、小さな円いテーブルにティーカップを置いた。


「クスッ、世の中……何が起きるか分からないものだ」


 そう言い額に手をあて笑みを浮かべる。


(これでいい……とりあえず、しばらくはな。恐らく、時が経てば女だという事は分かってしまうだろう。

 だが、それでいいのだ。少しでも欺くことができれば……)


 そう思い遠くに視線を向けた。


(そういえば……クリオネアから連絡があったな。トウマに計画を駄目にされたと……。まぁその代わり、仕事を与えたと言っていたが……どうなる?

 ……まあいい、どうにかなるだろう。それよりも、トウマが王都に行ってからだろうな。確実にトウマは疑われる……いや、それが証明されたとしても……)


 そう考えると目を閉じる。その後、息を吐いたあと瞼を開いた。


「セルジオ……お前は、どう判断する? 私は、王都で信用できる者は……お前だけだ」


 そう言いアルベルトは、俯き頭を抱える。そしてその後も、色々と考えていた。




 ――場所は戻り、ラガの屋敷の大広間――



 ダンスの演奏が止まりトウマは、マリエスとテラスに来ていた。そして、景色を眺めながら飲み物を口に含んだ。


「婚約のお披露目ができて良かったですわ」


「あ、ああ……」


「どうしましたの? 顔色が悪いようですが」


 そう言われトウマは、首を横に振る。


「ううん、大丈夫。ちょっと疲れただけだから……」


 そう言うも実は、ずっとレックスの視線を感じていたため変な気持ちになっていたのだ。


(……なんで、オレをみてるんだ? いや、マリエスをみてるのかも。んー……でも変だ。どう考えても、オレをみてるよな)


 そう思考を巡らせる。


「トウマ、それなら椅子に座って休みましょう」


 そう言いマリエスは、トウマの手を取り大広間へと向かった。


 その後トウマは、マリエスと椅子に腰かける。


 そしてトウマとマリエスは、そのあとも話をしていたのだった。

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