24》♠︎婚約~一通の手紙と承認~♠︎

 ここはパーティーが行われる大広間。この村の者や近隣の町や村などから、急遽招待された者たちが集まっていた。


 勿論ここにはトウマとウッピィもいる。その隣にはマリエスがいた。


「トウマ、ごめんなさい……レックスが馬鹿なことをしてしまって」


「ん? ううん、オレは大丈夫だ。それよりも、マリエスはレックスの気持ちに気づいてたのか?」


「いいえ、初めて聞きました。でも、知ったとしても……私の気持ちは変わりませんわ!」


 そう言いマリエスは、真剣な顔でトウマをみる。


「あーうん、でも……オレよりもレックスの方が大事にしてくれるんじゃないのか?」


「……トウマ……私が嫌いなのですか?」


 マリエスはそう言い目を潤ませる。


「そ、それは……嫌いじゃない。それにオレは、マリエスよりも年下だし」


「もしかして、そんなことを気にしているのですか? 私は、そんなこと気にしませんわ」


「そうだとしても……さぁ」


 そう言いトウマは、マリエスから目を逸らした。そして出入口の方をみる。


「……」


 トウマは青ざめる。そうそこには、レックスが居てトウマとマリエスをみていたからだ。


(……意識が戻ったのか、良かった。でも、なんであんな所でみてるんだ?)


 そう思いトウマは首を傾げる。


「どうしたのです?」


 そう言うとマリエスは、トウマがみている方へ視線を向けた。その後、ジト目でレックスをみる。


「マ、マリエス……」


 トウマは横目でマリエスをみた。


「ほおっておきましょっ」


「いいのか? 何か話したいことがあるのかも」


「いいのです……私の決心は変わりませんので」


 そう言いマリエスは、レックスから視線を逸らす。


 それをみたトウマは、申し訳ない気持ちになる。


 そうこうしているとラガが大広間に入ってきた。


 それを確認するとマリエスは、トウマの手を取りラガの方へ向かう。


「お父さま、私の我がままを聞いてくれてありがとう」


「ああ、問題ない。まさかお前が、婚約をしたいと言った時は驚いたがな」


「今更なのですが……婚約となると両親族の同意が必要ですよね?」


 それを聞きラガは、ニヤリと笑みを浮かべる。その後トウマに二通の手紙を渡した。


 一通は封が開いている。だがもう片方は、封がされていた。


「先程、魔法で転送されてきた。それで……封が開いてる方は、アルベルト伯爵からの返事だ。もう一通はトウマ……君に宛てたものらしい」


 それを聞きトウマは、自分宛ての手紙の封を開け読み始める。


(……おい、待てって。絶対、これを書きながら笑ってたよな? 婚約を認めるってどういう事だ。んー……確かに男のフリをするのには最適かもしれない。

 だけど……その内、間違いなくバレる。そうなったら、どうするつもりなんだよ。……自分の権力で、誤魔化す気か? どうなっても、オレは知らないからな)


 そう思いながら、もう一通の方もみた。と同時に、目が点になる。


(バラしたのか? オレが宝石の勇者だっていう事を……それも条件まで書いてある。マリエスと旅に出ること、って……何考えてんだよおぉぉおおおー!?)


 そう心の中で叫びトウマは、目に涙を浮かべ頭を抱えた。

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