22》♠︎パーティーの真の目的〜尾行と決闘を申し込まれる〜♠︎

 ここはラガの屋敷の婚約パーティーが行われる大広間。


 婚約と言っても、まだアルベルトの承諾をもらっていないため仮となる。


 あれからトウマは、侍女の案内でこの大広間に来ていた。



 そして現在、トウマは飲み物をのんだり豪華な食べ物をたべている。


 そう、ほぼやけくそになっていたのだ。


「大変なことになったよな。でも、アルベルトが承諾するのか?」


 ”どうだろう? ウチは、アルベルトがどんな人か知らないので“


 それを聞きトウマは、軽く頷いた。


 そうこうトウマはウッピィと話をしている。するとマリエスがトウマの傍まできた。


 マリエスは白とピンクのドレスを着ている。


(綺麗だ。いいなぁ……オレも着たい)


 そう思いトウマは、うっとりしマリエスをみていた。


「トウマ様、今日は来てくれてありがとうございます」


「あ、うん……こちらこそパーティーに招待してくれてありがとう。それと……様はつけないでいいっていったよな」


「そうでしたわ。じゃあ、トウマ……まだ時間もありますし庭で話しませんか?」


 そうマリエスに言われトウマは考える。


(庭か……大丈夫だよな)


 不安になるもトウマは、分かったと頷いた。


 その後トウマとマリエスは一階に降りて庭へと向かう。


 それをみていたレックスは、トウマとマリエスのあとを追いかける。




 ――場所は移り、ラガの屋敷の庭――



 トウマはマリエスと庭を歩きながら話していた。


 傍からみると逆身長差カップル状態である。そうトウマよりも、マリエスの方が高いからだ。


 その様子をレックスはみていた。


(タイミングが……。できれば、マリエスが居ない時を狙いたい。だが、この様子じゃ無理だな)


 そう思いながらレックスは物陰に隠れる。


(……誰かにつけられてる? 誰だろう。んー……マリエスの護衛って訳じゃないだろうし)


 トウマは大広間から、ずっと誰かにつけられていることに気づいていた。


「マリエス、先に大広間に行っててくれないか」


「ええ、構いませんが……どうしたのです?」


「いや……ちょっと一人で考えたいことがあるんだ」


 それを聞き頷くとマリエスは、ニコリと笑みを浮かべる。


「分かりましたわ。では、時間に迎えにこさせますね」


 そう言われトウマは、コクリと頷いた。


 それを確認するとマリエスは、建物の方へ向かう。


 マリエスが建物の中に入ったことを視認すると、トウマは深呼吸する。


「出てこい! なんの用か知らないけど、さっきからつけて来てるだろ!?」


 そう言いながらトウマは、レックスが隠れている物陰に視線を向けた。


「フッ、流石だな。まぁ……あの山賊たちを一人で倒したんだから当然か」


 レックスはそう言い物陰から姿をみせると、トウマを睨みつける。


「レックス……お前か。それで、なんの用なんだ?」


「用か……そうだな。俺はお前に、決闘を申し込みにきた!」


 そう言い放つとレックスは、胸のポケットに飾られている緑の魔宝石を取った。そして、その魔宝石をトウマに投げつける。


 それをトウマは、反射的に取ってしまった。


「あっ!? しまった」


「俺が投げた魔宝石を取ったってことは、申し出を受けるってことだよな」


 そう問われトウマは、渋々頷く。


「ハァー……仕方ないか、取っちゃったし。それで、いつやるんだ?」


「今に決まっているだろ」


「なんで決まっている?」


 そう言いトウマは、意味が分からず首を傾げる。


「マリエスと婚約をする前に決闘しないと意味がないからな」


 それを聞きトウマは、なるほどと思い呆れ顔になっていた。


「そういう事か……レックスはマリエスのことが好きなのか?」


「ああ、勿論だ。それなのに……俺よりも年下にマリエスを」


 レックスは、クッと下唇を噛んだ。そしてトウマを、キッと睨む。


「そうか……まあオレは、別にマリエスと婚約をしなくてもいいけど。魔宝石を受け取っちゃったし、やるしかないよな」


「なんか、ムカつく言い方だな。ならなんで断らなかった?」


「……断る理由もなかったしな。それよりもここじゃ剣は使えない」


 そう言いトウマは、自分の手をみた。


「勿論、武器や魔法を使わずにだ。その方が本当の力が分かるだろ?」


「そうだな……オレはそれでいい」


 それを聞くとレックスは身構える。


 それをみたトウマも、身構えレックスを見据えた。

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