21》♠︎パーティーの真の目的〜真相と困惑〜♠︎
ここはラガの屋敷の客間。
トウマは、何を言われるのかと不安に思いながらも、ラガの話に耳を傾けていた。
「うむ、実はな。今日ここに招待した理由。それを話す前に、単刀直入に聞く。君はマリエスをどう思っている?」
「どうって……んー、そうですね。お転婆な所はありますが、綺麗で優しくしっかりしている人だと思います」
「なるほど。これは少し聞き方を変えるか。もう一度聞く、君はマリエスのことが好きか?」
そう問われトウマはなぜラガがそんなことを聞くのかと疑問に思う。
「その言葉の意図が良く分からないのですが。……そうですねぇ、どちらかといえば好きです」
そうは思ったが話を先に進めるため返答した。
「おお、そうかっ! 好きか。ではマリエスとの婚約、問題なさそうだな。それに君はしっかりしているから、あれを嫁がせても大丈夫だろう」
トウマはそれを聞き「待って!?」と言い驚き前のめりになる。
だがラガは、その言葉を無視し更に話し始めた。
「そうそう、このことを早急にアルベルト・ルディ伯爵にお伝えせねば」
「だから、待ってくださいっ!」
そう言うもラガは、トウマの言葉を聞いているのか聞いてないのか、ニコニコしながら勝手に話を進めていく。
(婚約……ちょ、おい待て。これどういう事だ? なんでオレがマリエスと……。そもそも、なぜこうなった……)
トウマはいきなりとんでもないことを言われ混乱する。
“トウマがマリエスと婚約。……プププッ、”
トウマから視線を逸らし下をむき口を押え笑いを堪えていた。
それをみたトウマは、肩に乗っているウッピィを両手でガバッとつかみ目の前まで持ってくると、顔を引きつらせ睨んだ。
ウッピィはトウマの手から逃れようとジタバタする。だが逃げられず顔中ダラダラと汗をかく。
“うわぁー、は、放してくださいっ! そんなに睨まないでも……”
「確かにそうだな。ごめん、」
ボソッとそう言いウッピィを解放した。
(だけどどうしよう。このままじゃマリエスと婚約させられる……。
ああ、好きだなんて言わなきゃよかった。それにマリエスとの婚約の話がアルベルトの耳に……)
そう考えた瞬間ゾッとし体を震わせると顔から血の気が引いていく。
そうこうトウマが思考を巡らせているとラガは、持っていた紙とペンをテーブルの上に置きアルベルト宛てに手紙を書き始める。
それを側にいるハミルに渡すと、至急この手紙をルディ邸に持って行くように指示した。
「--ハミル。それとこの部屋を出たら誰かをここに、」
ハミルは、それを最後まで聞かずに察し「承知いたしました」と言い、軽く一礼すると部屋をでる。
その後部屋に侍女がくるとラガはトウマをパーティー会場に案内するように言った。
そしてトウマとウッピィは、拒否る間もなく侍女の案内でパーティー会場へと向かう。
(って……ああぁぁぁー、どうすんだよぉぉぉぉぉ……)
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