14》♠︎村長の娘を助ける〜敵意と恋心と嫉妬と〜♠︎
ここは白岩の森。レックスが突然しげみから現れたため敵と思いこみ、トウマは鞘におさまった剣を持ち身構えた。
片やレックスはトウマを、山賊の仲間だと勘違いし、攻撃しようとしていた。
「おい!お前のような子供が、何でこんなことをしている?」
「子供……って!オレは、これでも15だ!!」
「フン。15かぁ。やっぱ子供じゃんか。ちなみに俺は18だ!」
トウマはそう言われ不愉快に思いレックスをにらんだ。
「18って。3つしか違わないじゃないか!」
「3つも離れていれば、だいぶ違うと思うけどな!」
レックスとトウマは低レベルな言い合いをはじめ、マリエスがそれを止めるため2人の間に割って入った。
「待って!レックス。その子は……」
「マリエス。大丈夫か?待っていろ。今すぐ、コイツをこらしめてやるからな!」
トウマはその会話を聞き、レックスが敵じゃないことに気づき、鞘におさまった剣を持ちなおした。
「ちょっと待て!お前は、その人の知り合いなのか?」
トウマにそう聞かれレックスは不思議に思いながら、
「ああ、そうだが。それがどうした!」
「それなら、お前と戦う必要はない。という事だ」
「言ってる意味が分からん。まさか、この場をごまかして、逃げるつもりじゃないだろうな!」
レックスはそう言いながら、トウマを疑いの目でみていた。
「……オレが逃げる?その前に、オレを疑ってるみたいだけど。この状況をみて、どうしたらそういう発想になる?」
トウマにそう言われ、レックスは辺りを見まわしてみた。
すると、目の前には山賊たちが魔法の鎖で縛られ捕らえられていて、その先では山賊のボスが縄で縛られていた。
「これは……。まさか!お前が全部やったのか?」
「いや、オレだけの力じゃない。オレの相棒の、うさリスのウッピィが助けてくれた」
するとウッピィは、マリエスの肩から降り、トウマの肩にピョンと乗った。
「なるほどなぁ。まぁ確かに、冷静になって考えてみりゃ。お前のようなお子様には、こんなだいそれた誘拐まがいのことが、できるわけないわな!」
トウマは一瞬その言葉にカチンときたが、冷静になれと気持ちを落ちつかせた。
そしてマリエスは、ホッとした表情になり、トウマをみると話しはじめた。
「あ、あのう。助けていただき、ありがとうございます。私はマリエスと申します」
マリエスは、トウマに軽く頭を下げると、ホワ〜ンとした表情になっていた。
そう、マリエスは山賊たちから助けられ、トウマを好きになっていたのだ。
「あーえっと。オレはトウマ。あっ!そうそう。どこも怪我してない?」
トウマは心配そうな表情でマリエスをみた。
「はい。大丈夫です。心配までしていただき、ありがとうございます」
マリエスはトウマを、ウットリとした表情でみていた。するとレックスは、それをみて不機嫌な顔になった。
「まぁいい!だがまだ、お前を好きになったわけじゃないからな。けど、マリエスを助けてくれたみたいだし。感謝だけはしてやる。ありがとうな!」
そう言いながらレックスは、プイっとそっぽを向いた。
その後トウマは、魔法の鎖だと自分の魔力が尽きてしまい解けてしまうため、レックスとマリエスに手伝ってもらい山賊たちを縄で縛った。
そして3人は、山賊のボスと山賊たちを、村に連行するにも人数が多すぎると思い考えた。
するとレックスは、自分がいく方がいいだろうと言い、マリエスとトウマを2人っきりにしたくはなかったが、警備隊を呼びに村にもどることにした。
その間トウマとマリエスは、話をしながらレックスがもどるのを待った。
それから数十分後。トウマ達は、レックスが警備隊を連れもどってくると、山賊のボスと山賊たちを引き渡した。
そして村に来るようにとマリエスに誘われ、トウマはいくことにした。
だがこの時レックスは、トウマに対しジェラシーを感じていた。
(クソッ!マリエスのあの様子じゃ。間違いなく、このトウマっていうヤツのことを……)
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