12》♠︎村長の娘を助ける〜実力の差〜♠︎
トウマは、鞘におさまったままの剣を握りしめ、山賊のボスめがけ突進した。
片やウッピィは、トウマが動いた事を確認すると、マリエスの肩の上で、迫りくる山賊たちを待ち構えた。
(この作戦が上手くいくとは限りません。ですが、やらないよりはマシだと思いますし……)
一方マリエスは、木に寄りかかりながら、迫りくる山賊たちに怯えていた。
(ああ。どうしたらいいの?私のせいであの子まで巻きこんでしまった)
山賊のボスは、細身の剣を構えながら、突進してくるトウマに対し、よゆうの表情で
(フッ、馬鹿なガキだ。まぁ、さっきの様子をみたかぎり、あの剣を鞘から抜くことはできねぇ)
そう山賊のボスは、見ためだけでトウマの実力を過小評価していた。
トウマは突進しながら自分の魔力を剣に込めていた。
(オレの今の実力じゃ、本来の属性魔法は使えない。てか、そもそもなんで使えないんだ?
そういえば、いったい勇者の証の紋章ってなんだ?あーって。なんでよゆうがない時に限って、こんなこと思いだすんだよ〜)
突進しながらトウマは、鞘におさまったままの剣を右下斜め後ろに構えると、
《
そうトウマが言った瞬間、透明で鋭い光が鞘におさまったままの剣を覆い包んだ。
それを確認したトウマは山賊のボスめがけ、鞘におさまったままの剣を左上斜め前に思いっきり振りあげると、鋭く光る斬魔を放った。
その鋭く光る斬魔は、山賊のボスに近づくにつれ、周りの空気を巻きこみ圧縮していき波動を起こし、段々と大きくなり鋭さを増していった。
山賊のボスは、鋭く光る斬魔が放たれた直後はよゆうをみせていたが、自分の側までくると表情を一変させた。
そして、危機を感じた山賊のボスはすかさず細身の剣を構え直した。
だが時すでに遅くその鋭く光る斬魔は、鋭く重い刃となり、山賊のボスの目の前まできていた。
「クッ、これはまずい!?まさか、こんなガキが。これほどの技を」
それを細身の剣で弾きかわそうとするも、その斬魔は重く威力があり、防ぐだけでやっとだった。
山賊のボスは、その斬魔の威力に耐えきれなくなり、持っていた剣ごと後ろに弾き飛ばされ、尻もちをついた。
トウマはその間すでに山賊のボスの間合いに入っていた。
そして、トウマは山賊のボスが動きだす前に押さえこむと、すぐさま左手で親指を鍔にかけながら、鞘におさまったままの剣を握り直した。
トウマはすかさず山賊のボスのみぞおちを、剣の柄頭で力いっぱい突いた。
すると、山賊のボスは一瞬の事でなにもできず、そのまま気絶してしまった。
そして、トウマは山賊のボスが目を覚ます前に持っていた縄で縛りあげた。
トウマはなんとか山賊のボスを倒す事ができ、安心してしまい力が抜けそうになった。
だがトウマは、まだ安心するのは早いと自分に言い聞かせ、気合を入れ直した。
そしてトウマは心配になり、ウッピィとマリエスがいる方へと視線を向けた。
(ウッピィ。本当に大丈夫かな?……)
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