10》♠︎村長の娘を助ける〜焦り〜♠︎

 ここはトパタパス村の村長の屋敷。


 そして、屋敷の客間には村長のラガ・ロイズがいて、村の者たちとマリエスの幼馴染のレックス・ドルマと、話し合っていた。


 ラガは椅子に座り、テーブルに寄りかかりながら頭をかかえていた。


「……ああ、マリエス。こんなことなら1人で森に行かせるべきではなかった」


「村長。あまり自分を責めないでください。クッ、悪いのは俺です。もっと早く村に戻っていれば、こんなことにはならなかった」



 テーブルをはさみ村長のむかいあわせで立っている、このピンクの髪の男がレックス・ドルマ。そして18歳でマリエスの幼馴染である。



「いや、お前が悪いわけではない。病気で寝込んでいた私のかわりに、王都に出向いていたのだからな」


「しかし!それでも……」


 レックスは悔しさのあまり、テーブルをバンっとおもいっきり叩いた。


「いまさら悔やんでも仕方がない。それにまだ、マリエスが山賊におそわれたという、確証も得られていない」


「ですが。ここで議論をしている間にも、マリエスは……」


「確かにそうかもしれん。だが今は、森にむかわせた者の、知らせを待つしかないのだ」


 レックスはラガにそう言われ、このまま待つしかないのかと、一瞬あきらめかけた。


 だがレックスは、このままここで待つのは違うだろうと考えなおした。


「村長!やっぱり俺は、マリエスのことが心配だ」


 そう言うとレックスは、村長や村の者たちの制止を振りきり、その場をあとにした。


(マリエス、待っててくれ。必ず俺が、お前を救いだす!)

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