6》♣︎動物たちの救出〜クオレの正体〜♣︎

 ここは、動物たちが捕らえらている荷馬車から、数百メートル離れた場所。


 そこには3本の木があり、隠れるのに丁度いい大きさだ。


 クオレに言われるまま、トウマは警戒しつつここまで来た。


「あたしが何故、ルディ家の事について詳しいか、だったわねぇ」


 そう言いいながらクオレは、木に寄りかかると、トウマを見た。


「そうねぇ。まず、あたしが何者かが先ね」


 そう言いクオレは話し始めた。


「あたしの本当の名は、クリオネア・ファレス。アルベルト様の下で働く者。と言っても、直接お会いした事はないのよねぇ」


 そう言いながらクリオネアクオレは、パープリアルの方角を見た。


「じゃ、アイツアルベルトに言われ、こんな事をしてたのか?」


「こんな事?……ああ、動物たちの事ね。まぁ半分はあってるけど」


「半分あってるって……。それってどういう事なんだ?」


「これを話すと、長くなるのよねぇ」


 そう言いクリオネアクオレは、右手の人差し指を唇に添えると、


「簡単に説明すると、ここ最近アルベルト様の名を使い、何者かが裏で悪さをしているらしいのよねぇ」


「名前を使いって……。でも、アイツアルベルトなら、悪さしてそうだけど」


「……。そうなの?」


「ああ。オレから見たアイツアルベルトは、裏で……いや表ででもだけど、何をしてるか分からないようなやつだ」


「ふ〜ん。でも、そうだとしても、アルベルト様は、この件をどうにかしたいらしいのよねぇ」


 クリオネアクオレがそう言うと、トウマは真剣な面持ちになり、


「だとすれば、ただ単に、自分の名前を使われた事に対し、腹を立ててる可能性は高いな」


「それは、あるかもしれないわね。まぁそういう事で、あたしは素性を隠し、色々調べているのよねぇ」


「で、この動物たちの闇売買も、その事に関わっているのか?」


「それはまだ分からないのよ。ただこのダイスとビスが、何か知っている可能性が高いのよねぇ」


「それで2人に近づいたってわけか」


「ええ。わざわざ、あたしが偽バイヤーまで用意したんだけど……」


「それをオレが……」


 そう言いトウマは頭を抱えた。


「まぁトウマは、この事情を知らなかったんだから、仕方ないわね」


「ああ。だとしても……。もしこの事がアイツアルベルトの耳に入ればって思うとな」


 トウマの顔が青ざめた。


「ねぇ、トウマ。……坊やはいったい?」


 クリオネアクオレは、不思議に思い首を傾げると、トウマを覗き込んだ。


「オレは……」

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