3》♣︎動物たちの救出〜決行〜♣︎

 トウマは荷馬車の下から、3人の動きを監視していた。


 クオレは荷馬車の後部から乗り、動物たちの状態を確認していた。


 そして、荷馬車にダイスが乗ると、入れ替わるようにビスが降り、右側から前に行こうとしていた。


 トウマはそれを見ると、即座に荷馬車の下から這い出し、気づかれないよう息を殺し、ビスが現れるのを待った。


 するとビスは、眠たそうな目をこすりながら、トウマの目の前に現れた。


 目の前にトウマがいたので、2人に知らせようと、ビスは声を出そうとした。


 だがトウマはそれに気づき、瞬時にビスの口を左手で塞いだ。


 そしてトウマはすかさず右手でビスの左手を掴み、左に重心をかけると のしかかるように押し倒した。



 ビスはトウマと同じぐらいの体格で、身長が165ぐらいだった為、難なく押し倒す事が出来た。



(出来れば、流血だけは見たくない。そうなると……)


 そう思い、荷馬車の中の2人が気づき、出てくる前にけりをつける為、トウマは瞬時に自分の右手を、ビスの腹部に添えた。


 《プレッシャー!!》


 トウマが、聞こえるか、聞こえないかぐらいの小声で言うと、紫色に右手が光りだした。


 するとビスの腹部に、紫色の魔法陣が現れたと同時に、圧力がかかった。


 ビスはトウマに、口を塞がれていた為、何も言えなかった。そして一瞬、苦しい表情をみせ、そのまま気絶してしまった。


(ふぅ。後は中の2人。だけど……)


 トウマは荷馬車の方に視線を向けた。


(……まぁ、何とかなるかな)




 一方、クオレとダイスは荷馬車の中で、荷物の整理などをしていた。


 すると外で物音がした為、クオレは気になり、


「ダイス。いま外で、何かが落ちたような、音が聞こえたのだけど?」


「ああ。おおかたビスが、外で何かしてるんじゃねぇのか?」


「そうね。でも、何をしているのかしら?」


「確かに気になる。いつも、のんびりしているビスだが……まさかな」


「ねぇ。いやな予感がするのだけど……」


「俺もだ!」


 どうするか考えた後、


「クオレは、ここで見張っててくれ!俺が確認してくる」


 ダイスがそう言うと、クオレは頷いた。


 そしてダイスは、荷馬車から降り、辺りを見まわした。それを確認すると、トウマは身を潜め待ち伏せた。

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