第5話 おじさんが女子高生に初めて夕食を作るようです。③
食材を買いマンションのドアに手をかける。
そのまま開こうとしたがとある考えが頭をよぎり動きが止まる。
「(ただいまとか言った方がいいなかな?)」
長いこと一人暮らししていた創田太陽は改めてこの状況に戸惑ってしまった。
そもそも実家暮らしでもただいまと言っていたかどうかもうろ覚えな状況だ。
「いや、言った方がいいよな・・・やっぱり・・・」
雪城あかりとの出会いを思い出す。
あの一件は仕方がないとしても次は許してもらえるとも限らない。
相手にこちらの存在を認識してもらうために
息を軽く吸い込み深く息をはく、そして思いっきり吸い込み吐き出す。
なんどか繰り返し心を落ち着けドアノブに力を込めてゆっくりと扉を開き、
「た・・・ただいま」
一言玄関で声を出した。
すると、彼女の部屋からあわただしい音が聞こえてきたかと思ったら、一息つく間もなく扉が勢いよく開き俺の前まで駆け寄ってくる。
「おかえりなさい!」
満点の笑顔で彼女は出迎えてくれる。
呆気に取られて動けなくなった俺にきにもせず彼女はさらに語り掛けてきた。
「・・・なんかこういうのいいですね。」
「・・・・?」
「そんなことより何をご馳走してくれるんですか!?」
目がらんらんと輝き彼女は顔をのぞかせる。
そんな彼女を見てつい吹きこぼしてしまう。
「ふふっ・・・」
「へ?えと・・・どうしました?」
「あぁ、ごめん。ごめん。雪城さんの表情がコロコロ変わるのが面白くて」
「えぇ!?そんなに変でした!?」
こんどは自分の顔をぺたぺた触りながらおろおろしている。
このころの子供は多感な時期だし、少しフォローしておいた方がよさそうだ。
「あぁ別に変とかそういうのじゃないよ」
「えぇ・・・ほんとですかぁ?」
「大丈夫、ちゃんと可愛いよ。」
「かっ・・・かわっ・・・!!!?」
「それじゃ、すぐにご飯作っちゃうね。」
そういってキッチンへとむかう。
彼女の顔が少し赤いくなっていた気がするが気のせいだろう。
そのまま簡単な料理を作り彼女にふるまい就寝した。
これから、いろいろあるんだろが頑張らなければならない。
「(警察にお世話にならないようにしないと・・・)」
こうして女子高生とおじさんの新生活が始まったのだった。
女子高生とおじさんが新生活を一緒に始めるようです。 えちだん @etidan
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