第3話 おじさんが女子高生に初めて夕食を作るそうです①
今日一番のお辞儀をした俺はパイプ椅子と比べても遜色がないくらいだ。
そんな感じでひと悶着したのち、婆さんは帰ってしまった。
つまり、今ここには女子高生とおっさんという警察官寄せ餌コンビしかいなかった。
「んん・・・・」
「えぇっと・・・・」
二人に気まずい空気が流れ始める。
このままでは、ご近所様に見られて変な誤解を受けてしまう。
俺は意を決して口を開く。
「とりあえず荷ほどきもしたいし中に入りましょうか?」
「ふぇっ!?あっ!はいっ!そうですねっ!?」
彼女・・・
ここまで怖がられるのは慣れたものだが、一緒に生活するうえではいちいちこの反応だと困るのでせめて怖がられないくらいには親しくならなければならない。
「(最終的には急に目の前に現れても泣かれないくらいには親しくなりたいなぁ・・・)」
そんなことを思いながら部屋に入り各々の室内に運び込まれている段ボールを荷ほどきしていく。
荷物の搬入は婆さんがやってくれて、家具は備え付けで今まで使っていた家具よりもいいものだった。
軽く荷解きを済ませ雪城さんの部屋の前に立ち扉をノックする。
ーーーーコンコンーーーー
「雪城さん、少しいいかな?」
「はっはい!」
「夕飯はどうしよっか?簡単なものなら二人分作ろっか?」
ーーーーーーバンッーーーーーー
勢いよく部屋の扉が開き、満面の笑みで彼女が顔を出す。
「いいんですか!?」
「あぁ、そんなに凝ったものは作れないけど・・・」
「いいです!いいです!なんでも食べます!お願いします!」
「ハハハ、わかった、それじゃぁ近くのスーパーで食材でも買ってくるよ。」
興奮しながら食いついてくる彼女を見て俺はつい吹き出してしまった。
そんな俺を見て彼女の顔が少し赤くなっていた。・・・少し悪いことをしてしまっただろうか?
「(
そんなことを思いつつ部屋を出るのであった。
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