第5話 仲間
「...ねー、ライ、どうして彩芽ちゃんにあんなこと言っちゃったの?」
彩芽ちゃんを家まで送った私達は帰り道でライ__三來ちゃんに聞いた。
「さっき言ったでしょ。彼女に資格はないって」
「でも仲間が増えるんだよ?そしたら“本”を持った奴らを探し易くなるかもしれないのに...」
「それに“資格”があるかどうかは三來が決める事じゃないぞ。あそこが見えるかどうかで決まる。館長もそう言ってなかったか?」
すると、ライは私達の前に出てきて
「...私が言ってるのはそっちの“資格”じゃないわ」
と訳の分からない事をいう。
「彼女...暁月さんがこの街を守ることなのか?だったら酷いことだと思わないか?」
「そんな...!街に来たばかりだからってそれはないよ!」
「土地勘がない人が仲間になっても足手纏いなだけ。探索やその他諸々の行動に支障が出てしまう。ならば仲間に入れない方が妥当だとは思うわ」
いつもより、冷たい目をして私達をみるライ。
なんで...なんでそんなことが言えるの...
「...私達が暁月さんに街の事を教えてる間にも、“ウワサ”や“怪談”で犠牲になってしまった人達は増える。貴方達はそれを是とするの?」
「それは...」
「決まってるだろ。そんな事は決してあってはならない事だ」
「...何故みんなで教える前提になってるのかわからないけどな」
ケイが鋭い事を言った。
あ、確かに...
「悪いけど何人になろうが同じことよ。いつもより人数が減るわけだからその分取りこぼしも増える。連携だって取れなくなるし、時間もかかる。どれだけ非効率だと思ってるの?」
「非効率だろうが何だろうが、結果的に人数が増える。もし、抜けても今までとは変わらないから損害はないはずだ」
わぁ...ケイとライの一騎打ち...久しぶりにみる...
「その時間がもったいないのよ。犠牲者が増えるのをこちらはみすみす指を加えて見てろと?」
「一人二人のカバーぐらいは出来るだろ?僕らは何年“司書”をやってるんだい?それとも自分の戦闘能力に自信がないのかい?」
「...啓、私の事を馬鹿にしてる?」
「ならばやればいい。違うか?」
「...いいわ。やりましょう。それでいいわね?」
あ、今回はケイが勝った。
っていう事は...
「明日、彼女を呼んで素質があるかどうか確かめましょう」
「...まぁまずはそこからだな」
「ワクワクするね!」
「ったくいつもお前はそうなんだから...」
夜空に輝いている星が、寄り添うように瞬いていた。
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