03
夜になると。
沖合いに何かが来て、網を回収していく。
この海は、遊泳禁止。何十年も前に不法投棄された爆発物が海底に埋まっていて、その推移が常に陸上からの特殊音波探知で見守られている。
ソナーに、エコーがついたようなシステム。
他の物質があると、反響して更に具体的に投影することができる。
だから、この海岸ではボトルメールとか指輪とか、色々なものを海に流すことが認められていた。
夢も希望もない話だった。指輪も、ボトルメールも。海底の爆発物を監視するための、ただの囮にすぎない。
沿岸にはネットが張り巡らされていて、ボトルメールなどの漂流物が海流に乗って外海に拡散するのを防いでいる。
網にかかったものは、全てごみになる。当然だった。ごみなのだから、しかたない。
この海岸でボトルメールを拾った人たちは、それが遠いどこかの海から送られてきたものだと、勘違いしている。全て、この海岸に捨てた誰かのものだった。ごみを捨てて、それが誰かに拾われているだけ。
わたしも。そんな漂流物のひとつだった。
彼。なぜ、ライターを海に捨てないで、わたしに渡したのだろうか。
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