第2話見ない女の子
楽しい楽しいお買い物。と、言いながら私はいつも時間を潰す。大きなショッピングセンターの中を時に一人で、時に友人たちと時間をかけて歩き回るのは楽しいわ。でも、本当に欲しいと思ったものと出会えるのはほんのわずかなの。
好きなものはもちろんあるわ。好みもはっきりしているつもり。ただね。自分で思うのもなんだけど、私って冷めやすい性格みたい。あれが欲しい。そう思って出掛けて、いざ商品を目の前にすると、あ、やっぱり要らないや。そう思って帰って来ちゃう時もたくさんあるのよ。だって、あんなに同じ商品が並んでる中で一個だけ選ぶなんて。面倒じゃない?あんなにあるんだから、どれを選んだって同じよ。特別なものなんて何もないわ。私は、そう思っているの。
そう思うようになってね。私は買い物の時は商品を見ないようにしているの。商品自体は選んでいるわ。それは消費者として当然のことよ。より良いものを。自分に合ったものを。サイズを。好みのものを。
そう思うようになってね。人付き合いも適当になったわ。こんなに世界には「ヒト」という生き物が溢れているんだもの。誰と付き合ったって、別にかわりないわ。友人だって、恋人だって、いくらでも替えが利くでしょう? そこそこの交友関係は私にだってあるわ。でも、そこそこよ。
私は初めて会った人とは目を合わせない。目を見るけど、合わせることはしないわ。だって、特別にならないものと想いを通じ合わせて何になるの?
ほらね。私って、冷めてるでしょう?
貴方はどう? 一個一個見つめて、目を合わせて、考えて考えて選んでいる?そんなんじゃ、疲れてしまわない?
今日も私は友人たちと楽しい楽しいお買い物。
とてもつまらなくて、タノシイお買い物。
どれを手にとっても心は動かない。
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