第7話
散歩か、確かにここのところ引きこもり気味だったし、まあ行ってみるか。
部屋着から、Tシャツにジーンズ姿に着替えると、アパートを出て、公園に向かった。
ウメヶ枝公園は歩いて10分くらいのところにある。JRと私鉄の高架に挟まれた三角公園だが、なかなか景観というか居心地が良い。
そういや死神に初めて会ったのも、そこだっけ。
私鉄単線の高架沿いに歩いて、ウメヶ枝公園横にある車道に出る。右に曲がり、歩道を歩いていると前に何か深刻そうな雰囲気で背中を丸めて歩いている男が視界に入った。
足どりも重いらしく、だんだんと近づきもう少しで追い抜くくらいの距離になったが、信号が赤の横断歩道があったので立ち止まる。
しかし前の男は気づかずに横断歩道を渡ろうとしていた。
「危ない」
思わず男の腕を掴んで止めた。
「何をするっ」
男は驚いて怒った口調で俺に言ったが、目の前ぎりぎりをクルマが通りすぎたのと、自分が赤信号の横断歩道の上にいることに気づくと、俺に謝罪と御礼の言葉を言って、そそくさと行ってしまった。
その後、俺はウメヶ枝公園に行ったが、これといって何も起きなかった。
やはり眉唾ものだったのか、それともさっきのがフラグだったのか、今のところは分からなかった。
次の日、朝イチでメールが届いた。
[おはようございます、よく眠れましたか。
出掛ける前に、シャワーを浴びて身だしなみを整えると良いですよ]
なんだこりゃ
こんなのいつもやっている事じゃないか。
こんなので10分は高くないか? 相場は分からないけど。
まあ、お試し期間だからこんなもんなのかな。
特に出かける気でもなかったが、メールのせいか何となく今朝は外で食事をする気になった。
もちろん、シャワーを浴びて身だしなみを整えて外に出た。
住宅街なので近所に飲食店が無いから少し遠出することになる。
足は自然と駅の方に向かう、なぜならそちら方向にしか朝からやっている飲食店が無いからだ。
昨日と同じコースで進み、ウメヶ枝公園を横に通りすぎ駅のコンコースに着く。2店舗あるハンバーガーショップの片方に入り一番安いセットを頼む。
透明なアクリルの壁にあるカウンター席に座り、壁の向こうのコンコースを流れる雑踏を見ながらハンバーガーにぱくついた。
雑踏はスーツ姿の男女が目立つ、平日の朝だもんなぁ、当然か。
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