第6話 お試し期間

「だったら、その予定より早死にした奴らの寿命とかを、そいつ等にやればいいじゃないか」


「あげれませんよ、元々こちらに回収の権利が有るんですから。あくまでも誤差の範囲内のグレーゾーンの寿命だけです」


「しかし……」


「このままでは埒があきませんね。どうでしょう、私の知り合いはお試し期間をやってますので、そちらで試してみますか」


「お試し期間?」


「3ヶ月間、無料でお試しするんです。あなたもしくは私からチャンスと思うときに連絡をするというのです。それで人生がよい方向に変わったと感じたら、正式契約ということで」


「それをどう信用しろというんだ」


「[死神の契約書]を使います。これを破ったら私の存在が無くなるという代物です。悪魔と違い、死神は自分の存在をかけるのです。だから契約は絶対守られます」


自分の魂をかける訳では無いというので、俺は怪しみながらも、契約書にサインをした。


「ありがとうございます。それでは依頼人に連絡してきます」


死神はぺこりと頭を下げると立ち上がり、窓に向かって歩き、そこから外に飛び出した。

俺は慌てて立ち上がり窓から外を見ると、宙に浮かんでいる死神が、すーっと消えていくのがみえた。


 俺は呆然と外を見ていた。今あったことは現実なんだろうか、白昼夢でも見ていたかな。それならそれで心配しなくてはいけないんだが。


とりあえず窓を閉めて、いつもの場所に座るとスマホに着信しているのに気づいた。


見知らぬアドレスからのメールだ。迷惑メールかなと思ったが、それなら着信の合図は無い筈だ。

とりあえず開いて読んでみる。


“このたびは未来予想お試しメールを御利用いただきありがとうございます。

クライアント様に満足いただけるよう、精一杯努力させてもらいます。”


こんな文章と、アンケートが付いていた。

名前、生年月日、性別、趣味、までは解るのだが、

学歴や資格なんてものまである。

意味があるのだろうか。


とりあえず入力して返信すると、すぐにお試し版本登録完了の返事が届いた。


「なんか胡散臭いな、占いメールみたいだ」


【今から外出してウメヶ枝公園まて散歩すると良き出会いがあります】


最初のメールが届いた。

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