第4話 死神からの話
「出てけー、誰がやるか! ふざけるな! 」
魂はいらないけど寿命が欲しいだと、ふざけるな。人は長生きしたいと今コイツ自身が言ったことだろう、俺だって人並みに長生きしたいさ。びた一文だって寿命をやるもんか。
だがしかし死神は涼しい顔して話をつづけた。
「もちろんタダとはいいません、ちゃんとそれ相応の報酬があります」
報酬という言葉に少し反応したが、すぐにダメ出しした。おそらく猿の壺だ。危ないものには手を出さないに限る。
「報酬なんかいらない、とにかく関わるな」
「いいんですか、明日からのあては有るようにみえませんが、預貯金もそろそろ尽きかけているんでしょ」
「だとしても、怪しげな話に乗るほど困ってはいないぞ。どうせ引っかけ話だろう、猿の壺に手を突っ込む気はない」
「ですからそれは悪魔のやり方ですってば。私は死神です、そんなことをしません」
死神は憮然として応えた。
「どうせ、こうは言ったけど意味が違うとか、言い忘れましたとか、訊かれなかったとか、契約した後に言うに決まってる。危ない話には絶対乗らないぞ」
「ちゃんと説明しますし、契約した後も変更はできます。質問の数も制限しません。寿命と交換するのは未来予想です」
「未来予想って、予想なんだろ。確実ではないなら、そこに言い訳の隙があるじゃないか」
「そりゃあ未来は不確定ですからね、あくまで予想しかできないです。しかしね、全く知らないのと、当たる確率が九分九厘の予想を知っているのでは、随分と違いますよ」
「九分九厘当たるって、どういう意味なんだよ」
「ほぼ確実に未来が変わることの無い、ごく短い時間の未来を伝えるのです。そしてその時間分だけ寿命を払っていただく、そういう取引です」
質問の数を制限しないというのなら、聞くだけ聞いてみよう。どうやらこちらが納得しないと成り立たない取引らしい、最終的に断ればいいのだから。
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