第7話 くつ
「くつですよ」
と、E君は真面目な顔で言う。
大学生の頃、E君の友達がバイクで事故った。深夜の田舎道をかなりのスピードで飛ばしていて、カーブを曲がりきれずに、ガードレールに突っ込んだのだという。
友達は危篤状態だったそうだ。
見舞いに行ったが、ドアに面会謝絶の札が下がっている。
仕方が無いので、帰ろうとドアに背を向けた瞬間、背中をトントン、と叩かれたそうだ。
「ビックリして振り返ると、すごく変なものが浮かんでたんです」
E君が言うには、それは、逆さにしたバスケットシューズに似ていたという。
「ピンクがかった白で、靴紐の長いヤツみたいなのがずーっと、ドアの隙間に伸びてるんですよ」
何だろう、これは。
E君は、それに触ろうと手を伸ばした。
しかし、それは、スッとE君の手をかわし、ドアの隙間にするり、と入り込んでいった。
友達が亡くなったという連絡を受けたのは、それから数日後のことだ。
「あれは、絶対タマシイですって。人のタマシイはくつの形をしてるんですよ!」
E君は主張する。
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