6 変わらない事
その後、色々と話しながらも校舎まで辿り着いた所で、俺達とブルーノ先生は一旦別れる事になった。
俺達は教室へ行くし、ブルーノ先生は職員室へと足を運ぶわけだから当然だ。
ちなみに一旦というのは……まああの人も後で俺達が呼び出された時にその場にいるだろうから、だそうだ。
そんな訳でブルーノ先生と別れた俺達は教室へと足取りを向ける。
「そういえばブルーノ先生は何を受け持つんだろうね?」
「さあな。まあ担任とかじゃねえだろうな。余程の事でもなきゃこのタイミングで変わったりはしねえだろうし」
「ボクの見当違いじゃなきゃ、余程の事が起きてると思うけどね」
「あーまあそうなるのか。あのハゲの代わりに担任とかやってくんねえかな」
「確かに。その方がボクら的にはありがたいかな。なんか面倒事とかあっても味方してくれそうだし」
「……ま、でもあのハゲが担任のままでも大丈夫だろ」
「うん」
最低限必要なだけの結果は残した訳で……当面、あのハゲには何も言わせない。
言われてもまともに聞き入れるつもりもない。
そしてそれはクラスの連中もそうだ。
今まで散々な目に合わされてきたが、アイリスがアイツらよりも遥かに有能な事は証明できて、俺も……アイツらに負けない力を手に入れた。
こうなった今、あの教室は俺達が恐れなくちゃいけないような場所じゃなくなったんだよな。
「さ、もうすぐ教室だね」
「堂々と行こうぜ堂々と」
言いながら、俺達は教室の前へとやってくる。
そして軽く深呼吸してから、扉の取っ手に手をかける。
その扉も、いつもより軽く感じた。
そして浴びる……クラスの連中の注目を。
「……」
教室の中が静まり返った。
……今まで感じた事の無いような、そんな空気。
攻撃的とかそういう物とは若干違って……まあ、腫物を見るような感じ。
大体予想通りの反応だ。
あの場で俺達がどれだけ結果を残しても、多分コイツらは俺達を認めないだろう。
結果を見せれば掌がくるくると回転する程世の中は単純じゃない訳だ。
向こうは向うで、色々あったが故に直接的な行動を取ってこないものの、今までと地続きの悪意や嫌悪を抱いているのだろう。
……それでいい。
もうお前らはそれでいい。
別にお前らと今後仲良くやっていくつもりは無いからな。
お前らが俺達にやって来た事を忘れるつもりは無い。
だから冷戦だ。
お互い静かに敵意を向けて、嫌悪しながらやって行こう。
多分卒業までコイツらとはそれが続く。
負けるつもりは無い。
俺もなんとか前へ進んでいくつもりだし、アイリスはもう既に……そしてこれからもっと、お前らの手の届かない高みまで上がっていくからな。
精々悪態付きながら下から見上げてろ糞野郎共。
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