第24話 天賦の才か……

「んじゃ、訓練始めるぜぇ」

「自己紹介もなしにいきなりは違くない?」


初手からツッコミどころ。

ちなみにこのぶっきらぼうなやつは俺のセクハラ裁判で俺を死刑にしようとしてきた弁護士だ。

そう、あの使えない弁護士だ。


「……今テメェめちゃくちゃ失礼なこと考えてんだろ?」

「なんのことやら」

「まあいい、新雲将也だ。爆破能力者」


え、マジでいたの?爆破能力持ち。

あの部屋たちは本当にどこか……恐らく地下を爆破して作ってるのかもしれない。


「さて、訓練の内容だが……ま、基礎になる体術だけでも身に付けてけェ」

「そんだけ?」

「俺も詳しいこたぁ知らねえが、鍔越は訓練してみりゃ分かるとよ」

「そんなので良いのか……」


なんか適当な気がしなくもないが、この訓練の中身が実戦では命を守ることに直接関わる訳だし、意味は何かしらあるのだろう。


「んじゃあ、早速だが合図したら俺に一発パンチ入れてみろ。才能見てぇし今日んとこはそれで良いだろ」

「何回も同じこと聞くけどホントにそんだけなの?」

「おいおい、舐めてくれんなよ。……夜までここから戻れねぇと思いな」


キッと元から結構悪かった目つきが更に加えて鋭くなる。

ある程度距離を取って、深呼吸。


「来やがれ!」


そして新雲からの合図と同時に、俺の意識は消えた。




…………………







「おい、ありゃあどういうことだ鍔越。勘も、動きも、明らかに素人のレベルを越えてんじゃねえか。天賦の才なんて言葉でありゃあ説明つかねぇぞ」

「……やっぱり、僕の推測は当たってたのか」

「推測?そいつはどういうもんだ?」

「剛にはこれを伝えないで。実は……」









………………





「……うーん?」


意識がハッキリしてくる。

訓練が始まって、それから…それから……


「お目覚めですか?」

「うわっ!?」


突然誰かに話かけられる。

聞き覚えのある声だ。


「端寺さん?」

「覚えておられましたか」

「まあ、つい昨日見たとこですし」

「そうですね。では自己紹介がまだでしたので、ここでさせていただきます」


無機質な声で端寺さんは淡々と話す。


端寺雪はじでらゆきと申します。能力は既にご存知かと」

「はい、よろしくお願いします」

「よろしくお願い致します」


会釈をした後、少し用事があると一言残して端寺さんは去っていった。

いや、それにしてもだ。

端寺さんとは初対面だし声に聞き覚えがあるわけでもない。

だけどどういうわけだろうか?

俺は端寺さんに対して……


「どこかで見たような……」


そんな、変な考えを抱いていた。

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