第6話
「まあ、座れよ」
私と川西大我はバス停にある古びたベンチに座った。
話がある、そう言われたが、私はそれどころではなかった。
何度も、きょとんとした美少年の顔が頭をよぎる。
「まず、川西大我は俺な。で、あいつは白崎北斗。何勘違いしたのか知らねーけど、全然別人な。何から話せばいいんだよ、、、。とにかく、俺も凄い混乱してて、、、」
「失恋しちゃった、、、」
「え?」
「失恋しちゃった。失恋しちゃった。失恋しちゃった。失恋しちゃった。失恋しちゃった。失恋しちゃった!!!!うわぁぁぁぁ、もうおしまいだ、、、すっごい好きだったのに、、、」
目からは大粒の涙が溢れ出て止まらなかった。
「えぇ、おいおい。泣くなよ、、、。これじゃ話にならねぇ、、、」
川西大我は自販機でホットココアを買って、渡してくれた。
「ほらよ。これで元気だせ」
「、、、ありがと、、、」
「まあ、お前の事情はよく分からないが、、、申し訳ないけど、もっとショックな事をこれから話す」
「ショックな事って、、、?」
「あいつは、白崎北斗は、あのバスの乗客の中で、おそらく俺とお前にしか見えていない」
「どういうこと、、、?」
「北斗は、1年前に死んでるんだ。あれは多分、、、霊だ」
「え、何それ、、、でも、私今まで幽霊なんて見えた事ないし、あんなにはっきりと人間の姿なのに、、?幽霊が、バスに乗れるの?たまに一本早いバスに乗っても、一緒の時あったよ?もし幽霊だったら、必ず同じ時間のバスに乗るんじゃないの?」
「幽霊だってロボットじゃない。たまに違う時間のバスに乗ってしまう事もあるだろう。これは事実なんだ。どうにか受け止めてくれ。あー、もうこんな時間かよ。俺だって、色々疑問は残るけど、今はとにかく時間がない。すまんが、俺朝練あるから走って学校行くわ。じゃあな」
え。どういうこと。どういうこと。
全然、受け止められない。
受け止めたくない。
つまり、私は。
つまり、私は、、、
幽霊の男の子に、恋をしてしまったんだ。
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