第4話

「よくこんな寒い日にフラペチーノなんか飲めるね笑」


「りっちゃんだって、猫舌だからってアイスコーヒー頼んでるじゃん」


「これは本当にしゃーなしなんだわ、、、ここのホットはあっつあつだからね」


今日は日曜日。

だから、いつものバスには乗らなかった。

りっちゃんと渋谷のカフェに来た。


「で。で、よ。例の美少年とはなんか進展あった?」


「いや、、、あっ。あった」


「え、なになに?もう話しかけた?デートした?付き合った?」


「全然そんなんじゃないけど、、、名前分かった」


「それだけかよ〜。でも、奥手なあいりにしては頑張ったね!名前分かったって事は話したんじゃないの?」


「バイト先の先輩が、たまたまK高で。凄いかっこいい人が学校にいるかって聞いたら、教えてくれて。多分その人かなって、、、」


「確実ではないのか。でも、これはチャンスだよ!絶対物にしなきゃ!」


りっちゃんは私と話しながらコーヒーにシロップを沢山足していた。気付けば、5個も入れている。前々から甘党な事は知ってたけど、ここまでとは、、、。最早、もっと甘い飲み物を頼んだ方が良いのでは、、、。


「物にするって。どうやって?」


「まず、話しかけよ。何も始まらないから」


「え、無理無理無理無理。話しかけてどんな話題にしたら良いのかとか分からないしストーカーとかだと思われたらしんどい」


「でもね、一歩踏み出さない奴には幸福は訪れないよ〜」


りっちゃんはこの後彼氏とデートなので、今日は早めの解散。

彼氏、羨ましいなぁ。


段々風も冷たくなってきて、街中にはクリスマスの飾り付けがされ始めている。夜はライトアップされて、もっと綺麗なんだろうなぁ。


りっちゃんみたいに積極的になれたら、恋愛もきっと上手くいくんだろうな。

私って、今まで思いを伝えた事もないし、結局全部片想いで終わったっけ。

いつだって私は恋愛に臆病だった。

でも、もうただ見ているだけの恋愛に終止符を打ちたい。

美少年に出会って、何も出来ずにもうどれくらい経った?

5ヶ月くらいは経った?

そろそろ動き出すべきなのかもしれない。


明日も、私は6時5分のバスに乗る。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る