極寒と灼熱
「寒いというのに、食料となる生物は数知れない。
良い世界だ」
案内されて移動する直前、アザトがそう言った。
「この
「『第二のゼロ』ですか。
少し、ややこしい」
ゼロの由来を知っている
一〇〇〇人の軍事力を率いて、彼らは進んだ。
朝に出発し、雪原を移動する。運が良ければ、一日足らずで着くそうだ。
しかし、運はそう良くなかった。
すぐに猛吹雪に襲われ、
竜が出るよりはまだいいと思っていた矢先に、風に乗った火炎が隊を
猛獣の王の威容が、猛吹雪の中で少しずつ見える。降り注ぐ雪の中で、竜が襲いに来たのだ。
「国王を中心に密集せよ!!
絶対に王を守れ!」
イェードはファングボーンを振るい、そう命じた。
ただ狩るのではなく、王を絶対に守らねばならない。
重みを感じながら、イェードと軍人たちは動いていく。
極寒と灼熱。相反する要素に道を阻まれるゼロ国軍だった。
いつものように巨弓部隊を展開する。狙うのは眼だ。決まっている。
出発からおよそ二日後に、大集落へと着いた。
話をしてから、五〇〇人ほどの軍隊を残し、残り五〇〇人の近くがゼロ国への帰路についた。
イェードやアザトは
その予定だった。
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