オン・パレード
最初の戦いは、山に入った初日のさらに始まりだった。
挨拶代わりにイェルダントの
さらに上空からはアンドルゴンの番が二頭来て、火炎弾を吐き散らす。
「分散し、攻撃せよ!!」
一応は命令するが、
多少の損害が出ても、乱れずに各班を構成し、戦う。それは番程度の連携の比ではない。
イェルダントは何発か
怪我人を
大怪我を負ったものは、巨弓の上に載せて運んだ。始めからこうなることを見越して、遠征隊の巨弓には人や物を載せて運びやすいように改良がなされていた。
誰も見捨てないという連携は、何よりも強固な軍事力であった。
三日目。
対の最前列を指揮するイェードが白い
「まさか、イモートだと!!」
どうやら寒冷種らしい、白い脚をしている。
山にある森林の奥深くに、その本体が居るようだ。
「持久戦を考慮せよ!!
巨弓で陣形を組め!」
イェードが腰の、骨を薄く加工してできた長剣を抜いてイモートの
巨弓に弓が用意され、周囲を覆う脚の群れを攻撃していった。
「奥に本体が居るわけか」
「巨弓を貸してくれ」
「え、しかし。
「なんとなくわかるのだ。貸してくれ」
言葉の意味を図りかねた部下の軍人だったが、強引にその場にある巨弓を借りられてしまう。
「脚だか
まだわからない軍人たちだったが、射角をかなり上げていることからして、遠くを狙っているのは明らかだった。
「この位置だ! 放て!」
狙いをつける役目を果たした王の謎の厳命と共に、残る二名の発射
その矢はイェードの
その後、アザト曰く『脚だか触手』がとてつもなく暴れ狂い、動きが相当に弱まっていく。
「弓は得意でな。
これだけ判断材料が多ければ、最終位置を把握するのは難しくない」
得意とか、そういう領域の話ではなかった。
アザトは推定により本体の位置を厳密に探り当て、直接見もせずに射抜いたのだ。
「わかってはいたが、イモートより遥かに恐ろしいな」
イェード
イモートはようやく動きを止め、さらに進軍を続ける。
雪が強まってきた。
それどころか先ほどまで晴れ晴れとしていた空に暗雲が立ち込め、
とてつもなく荒れた、
「なんだ、ただのボルテクスか」
イェードは呆れたように言った。
いくつか巨弓が放たれると、すぐに吹雪は止んだ。
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